埼玉りそな銀行 ラボたま

「企業版ふるさと納税制度」を活用した
地域課題解決の伴走・支援について

ふるさと納税分野

2025.5

企業版ふるさと納税について

企業のためのふるさと納税があることをご存知でしょうか。

平成20年に個人が地元や関心のある地方公共団体(自治体)に寄附を行うことにより、地域の特産物などの返礼品の受け取りや住民税の控除といった税制優遇措置の恩恵が受けられる「ふるさと納税」制度が施行されました。企業版ふるさと納税は平成28年に導入され、先述のふるさと納税とは異なり返礼品はありませんが、国が認定した自治体の地方創生プロジェクトに対し企業が寄附を行うことで、寄附額の約6割が法人関係税から控除される仕組みです。損金算入による軽減効果と合わせると、実質的な企業の負担が最大で約1割まで圧縮される効果があり、さらに社会貢献等の対外的なPR効果が期待されます。

自治体においても地域における課題に対して、民間事業者の力を借りることにより事業実施の為の資金調達の一助となり、プロジェクトの発信によって地域の魅力アピールや認知度向上などを見込めるwin-winの制度となっており、寄附実績は年々増加しています。

<図1:企業版ふるさと納税の概要について>
(出典:企業版ふるさと納税リーフレット)
<図2:企業版ふるさと納税の実績推移について>
(出典:地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和5年度寄附実績について)

ラボたまの取り組みについて

ラボたまでは、この企業版ふるさと納税の活用を目指す民間事業者と自治体とをマッチングする事業に加え、パートナーとなる民間事業者とともに自治体の地域再生計画の策定(あるいは変更)支援を行い、地域課題の解決に向けて官民連携で伴走し、地域の持続的な発展を支援しています。ここで、埼玉県内におけるラボたまの取組についてご紹介します。

<図3:マッチング業務を受託している自治体>
(出典:ラボたまHP)

草加市は、令和5年度より企業版ふるさと納税マッチング支援業務を受託しており、バイオマス発電燃料等の販売や廃棄物のリサイクルを通じて循環型社会形成に寄与し、産業と地域の活性化に貢献する商社様へ個別提案やフォローアップを行い、「産業の活性化と安定した雇用を創出する事業」への寄附が実現しました。
他にも、川越市では、全国各地で太陽光発電事業によるクリーンエネルギーの供給やクリーンディーゼル車両の導入を通じてCO2削減に積極的に取り組まれている引越会社様より、「脱炭素化推進事業」に対する寄附をマッチングするなど、SDGs関連の取組の対しても、自治体の財源確保と民間事業者のニーズを支援させていただきました。

さらにラボたまでは、本制度の活用に向けて広く理解を深めていただく為、随時民間事業者や自治体を交えての交流会やセミナーを開催しています。令和4年度には、地方創生とSDGsをテーマとした「企業版ふるさと納税制度」活用実践のポイントについてのオンラインセミナーを開催し、県内3自治体(越谷市、志木市、鳩山町)と企業版ふるさと納税の寄附実績がある企業様にご登壇いただき、企業版ふるさと納税を活用した事業内容やまちづくりについてお話しいただきました。
また、昨年11月には寄附の対象となる県内自治体の取り組みを紹介するマッチング交流会を開催し、寄附を検討している民間事業者様と直接面談出来る機会を設けました。
マッチング実績は、年々拡大しており、寄附企業へのアプローチは埼玉県外へも拡大中です。

<図4:昨年11月開催のマッチング交流会の様子>

今後の展望

これまでラボたまが主に実施してきたのは、創業者等が寄附先の自治体出身であるなど所縁のある民間事業者をマッチングする所謂「縁故型」のマッチング事業でした。今後は、財源以外の面においても、地域課題に対して民間事業者と一緒に取組む「事業創出型」の企業版ふるさと納税を積極的に展開していく方針です。

そこで、昨年8月、金融機関の中で同じような立場から地域課題に寄り添う事業を行う中部・中国地方の銀行業高度化等会社(カンダまちおこし株式会社、ひろぎんエリアデザイン株式会社)と企業版ふるさと納税分野で連携する為、「企業版ふるさと納税研究会」が発足されました。
当研究会発足により、地域を跨いだ情報連携が可能となり、企業版ふるさと納税の潜在的な可能性を掘り下げ、新たな産業創出や地域社会の活性化、企業と自治体間の新しい協力モデルの構築へと持続可能な社会の実現に貢献することが期待できます。

<図5:「企業版ふるさと納税研究会」のイメージ図>
(出典:ラボたまHP)

今後も、地域社会の事例研究、モデル提案、具体的な事業実施など、幅広く挑戦していくことでより多くの自治体のニーズに柔軟に応えていきます。

遠隔医療、教育、インバウンドと様々な側面において地域課題を持つ埼玉県、官民連携の課題解決が注目される今、時代のニーズに即した役割で地域社会を牽引していく存在と言えるラボたま。研究会等での連携や議論を通じ、多くの地域課題解決に取り組んでいきますので、是非ご期待ください。