①アパート・マンション経営
皆さんにとって最もなじみ深い土地活用法のひとつが「アパート・マンション経営」でしょう。土地の活用方法としては従前からある手法で、不動産投資としても最も一般的なものです。
アパート・マンション経営は多くのメリットがある魅力的な活用方法である一方、デメリットもあります。押さえておきたいメリット、デメリットは下記の通りです。
・メリット
1. 安定した収入が見込める
会社が倒産した場合に資産価値がゼロになる可能性のある株式投資と違い、アパート・マンション経営では、不動産の資産価値がゼロになるリスクは低く、物件の魅力やオーナーの工夫次第では長期にわたって安定した収益を上げることが見込めます。
2. 優遇税制の適用が受けられる
住宅が建つ土地(住宅用地)の200平方メートルまでの部分に課せられる固定資産税の税率は、駐車場や遊休地などの「非住宅用地」に課せられる税率の6分の1(200平方メートルを超える部分は3分の1)に抑えることができます。このように、住宅用地は税制面での優遇措置が受けられます。
・デメリット
1. 空室リスク
賃貸経営において一番心配なのが空室のリスクでしょう。空室は収入の減少に直結し、ローンの返済にも影響を与える恐れがあります。入居者が見込めそうか、立地やアクセスから考えて入居者はどのような間取りを希望しそうかなど、地元の不動産会社を交えて事前調査することも大切です。
2. 建物の老朽化
時が経つにつれて建物は老朽化していくものです。メンテナンスを怠ると急激な家賃の下落や入居率の低下につながってしまいます。常に修繕費用を計上し、賃貸物件の老朽化を防ぐ必要があります。
3. 金利の上昇
アパートやマンションを建築する場合は、多くの場合融資を受けることになります。金利の種類は大別して「固定型」と「変動型」があります。変動型を選択すると金利は一定期間ごとに見直されるため、その都度返済額が増える可能性があることも想定しておく必要があります。
②駐車場経営
低コスト・低リスクで手軽に始められるといわれている「駐車場経営」はどうでしょうか。駐車場経営もその他の土地活用と同様にメリットとデメリットがあります。
・メリット
1. 初期費用が少ないためリスクが限定的
建物を建てる必要がない駐車場経営は、アパート・マンション経営や高齢者住宅の経営に比べて少ない初期費用で始められます。
2. 賃貸経営と比べて手軽に始められる
一定以上の広さの土地があれば、予算に合ったものを作ることができるのも、駐車場経営の魅力のひとつでしょう。予算によっては一般的なアスファルト舗装の代わりに砂利敷にするなど、駐車場の作りも柔軟に変えることも可能です。
3. 駐車場以外の用途への転用や売却が容易
駐車場は借地借家法の適用を受けません。固定した利用者がいたとしても、事前通告さえすれば立ち退いてもらうことができます。更地に戻して売却し、アパートやマンションに転用することも比較的容易です。
・デメリット
1. 収益が少ない
投資規模が小さい分、収益も少なくなってしまいます。
機械式駐車場やタワーパーキングなど規模が大きいものは、多くの売り上げが期待できる一方で、初期投資も膨らんでしまいます。
2. 税制上の優遇措置が受けられない
アパートやマンション経営では対象となっていた固定資産税などの軽減措置が受けられません。
高齢者住宅
高齢化が進む社会環境の中、「高齢者住宅」による土地活用も選択肢のひとつといえるでしょう。オーナーは以下のいずれかの方法によって家賃収入を得ることができます。
・建物を貸す
所有する土地にオーナーが高齢者住宅を建て、その建物を介護事業者などにマスターリース(賃貸)することで家賃収入を得ることができます。
・土地を貸す
高齢者住宅を建てたい事業者と土地の賃貸借契約を結びます。建設や運営をセットで事業者に任せれば、初期投資ゼロで賃料を得られます。
高齢者住宅による土地活用の主なメリットとデメリットとしては下記があげられます。
・メリット
1. 高齢化社会による需要増
これからますます進む高齢化社会において、高齢者用住宅の需要もさらに増加が見込まれています。
2.社会貢献
地域や社会において、高齢者が安心して暮らせる住環境を提供することができます。
・デメリット
1. 高い建設費用
高齢者住宅の建設には、ある程度の広さの土地が必要になります。そのため施設の建設費が高くなる傾向があります。
2.他用途への転用の難しさ
高齢者に特化した施設ゆえに、他の用途に転用しづらいという特徴もあります。
3.借地借家法の適用があること
介護事業者などに土地を貸す場合、借地借家法の適用があり、容易に立ち退きを求めることはできません。
土地活用は未来を見据えた計画を
本記事では、「アパート・マンション経営」、「駐車場経営」、「高齢者住宅」の3つの土地活用について、それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介しました。所有している土地の特徴や予算をもとに土地の活用法を考えることが大切ですが、将来的な需要も考慮しながら検討する必要があります。現状はもちろん、未来の需要を見据えれば、より高い収益が得られる活用法が見えてくるでしょう。