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認知症予防に効果的なトレーニングとは?
おすすめの運動や脳トレ、長く続けるためのポイントを紹介

認知症予防に効果的なトレーニングとは?おすすめの運動や脳トレ、長く続けるためのポイントを紹介 認知症予防に効果的なトレーニングとは?おすすめの運動や脳トレ、長く続けるためのポイントを紹介

認知症を予防するには、運動や体操、脳トレなどのトレーニングを継続的に行うのが良いといわれています。
健康に年を重ねるために、すでに、生活習慣の改善に取り組んだり、ウォーキングに励んだりしている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、なぜ認知症予防にトレーニングが有効であるといわれているのか、また、認知症予防におすすめのトレーニングほか、無理なく続けるためのコツや身近で利用できるサービスを紹介します。ご自身やご家族の認知症予防にお役立てください。

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濵﨑 秀崇

監修者プロフィール

濵﨑 秀崇 /
濵﨑クリニック/上町いまきいれ病院 糖尿病内科/相良病院 甲状腺科

東京大学理学部卒、広島大学医学部卒。国立国際医療研究センター病院・国府台病院を経て、2017年4月より濵﨑クリニックに勤務。糖尿病を専門に、内科疾患および内分泌疾患を幅広く診療している。

なぜ、認知症予防にトレーニングが効果的なの?

認知症の根本的な治療方法や治療薬がいまだ確立されていない中、認知症を予防するための研究が各方面で進められています。そこでわかってきたのが、運動や知的活動など非薬物療法によって、認知症のリスクを低減できる可能性です。

運動や体操が効果的な理由

運動や体操をすると、全身の細胞に酸素が行き渡り、脳の血流が良くなります。継続的に運動を行うことで、脳の血流量はさらに増え、脳が活性化するため、神経細胞や認知機能にもいい影響を及ぼすと考えられています。

全身に酸素を取り込む有酸素運動が特に有効ですが、それだけでなく、ストレッチや筋力トレーニングといった無酸素運動、脳を活性化させる運動など、多面的な運動プログラムを実践するのが有効です。

また、体を動かしながら数を数えたり、右と左で違う動きをしたり、脳の様々な機能を同時に使うトレーニングも注目されています。

脳トレなどのゲームが効果的な理由

「本を読む」「絵を描く」「映画を見る」「外国語を習う」などの知的活動をするとき、人間は考えたり、記憶したり、判断したりといった機能をよく使います。認知機能を維持するためには、知的活動を高めることも大切で、それが認知症予防にもつながるといわれています。

ゲームというと、子どもがするものと思うかもしれませんが、ゲームも知的活動の一種です。楽しみながら認知機能を刺激でき、脳を活性化できる遊びです。脳トレをはじめとするゲームは、特に記憶力、言語能力、判断力、計算力などを要するため、認知症予防が期待できます。
次では、認知症予防におすすめのトレーニングを分野別に詳しく紹介するので、日常生活に取り入れてみましょう。

なお、認知症予防には食事面からのアプローチも期待されています。以下の記事も参考にしてください。
参考記事:認知症を予防する食事とは?認知症予防に効果的な食事方法や食べ物などを徹底解説

認知症予防に効果的なおすすめトレーニング

おすすめのトレーニングを「運動」「脳トレ」「体操・趣味」「運動&知的活動の組み合わせ」の4分野に分けて解説します。

認知症予防におすすめの運動

運動は、大きく有酸素運動と無酸素運動に分かれます。それぞれの違いや、具体的な運動の例、そのほかにおすすめの運動を紹介します。

有酸素運動

ウォーキングやエアロビクスなどを指し、筋が収縮する際に酸素や脂肪を消費するため有酸素運動と呼ばれています。WHOでは65歳以上の高齢者に向け、週に150分~300分の中強度の有酸素運動、あるいは週に75分~150分の高強度の有酸素運動を推奨しています。最初は、ご自身の体調や体力に合わせて様子を見ながら行い、徐々に運動量を増やしていきましょう。

例)ウォーキング、踏み台昇降運動(ステップ)、ハイキング、水泳、ジョギング、ダンスエクササイズなど

無酸素運動

短距離走やストレッチ、筋力トレーニングなど短時間に強い力を要する運動です。筋の収縮に酸素が消費されないため無酸素運動と呼ばれています。運動強度は有酸素運動より強く、認知症予防のためには準備体操としてストレッチや軽い筋トレを行うのがおすすめです。筋肉の名前を覚え、今どこを伸ばしているのか、どこを鍛えているのかを意識しながら行うとより効果的です。ストレッチや筋トレを行うことで、筋肉が鍛えられ転倒リスクを低減できます。

例)脚裏伸ばし、アキレス腱伸ばし、背筋伸ばし、腕立て伏せ、しこふみ、スクワット、モンキーウォークなど

サッカー、ゲートボール、卓球、ゴルフなどの競技

対戦型のスポーツは、勝つための戦略や、思考力、判断力を要するため、脳のトレーニングになります。さらに、一人ではできないため、仲間とのコミュニケーションにより脳が活性化されます。

認知症予防におすすめの脳トレ

次に紹介するのは、ちょっとしたすきま時間に遊び感覚でできる脳トレです。

生活しながら脳を活性化

簡単な引き算や足し算でも、繰り返すことで脳を活性化できます。近所に買い物へ行ったとき、合計金額を暗算したり、おつりがいくらになるか計算したりするのもおすすめです。実際の買い物ではやりにくい場合は、スーパーのチラシを活用してください。複数の品物を買ったと仮定して、合計金額とおつりを計算してみましょう。

パズル

手と脳を同時に動かせるパズルも脳を活性化させます。ジグソーパズルは、空間認識力や想像力が鍛えられ、クロスワードパズルは記憶力や言語力への刺激が期待できます。

クイズの本

脳トレ用の計算問題や漢字問題、間違い探し、数パズル、日本地図クイズなど、書籍もたくさん発売されています。自分の好きな分野、得意な分野、逆に苦手な分野から選んでチャレンジしてみましょう。

スマホアプリで脳トレ

スマートフォンのアプリや、インターネットを通じて脳トレ用のゲームが利用できます。ジグソーパズルや間違い探し、積み木のパズル、記憶力ゲームなど種類も豊富なので気軽にチャレンジしてみてください。

認知症予防におすすめの手を使う体操や趣味

手指を使った体操や遊びも、認知機能に良い刺激を与えます。

テレビを見ながらできる手指の体操

両手で「グー」と「パー」の動作を交互に行うグーパー体操や、親指から小指までを順番に曲げる指折り体操がおすすめです。慣れたら、リズムに合わせて行ったり、右と左で違う動きをしたり、アレンジしてやってみましょう。

孫と一緒に楽しめる懐かしい遊び

折り紙やあやとり、お手玉、けん玉などの手遊びも認知症予防につながると考えられています。

カラオケや楽器演奏などの趣味活動

歌やダンス、楽器演奏が好きな方は、お仲間とカラオケやダンスを楽しんだり、バンドを組んで演奏したり、趣味活動を充実させるのもいい方法です。

運動と知的活動を組み合わせたコグニサイズ

新しい認知症予防運動として注目されているのが、「コグニサイズ(cognicise)」です。
コグニサイズとは、認知症予防を目的とした取り組みの総称で、国立長寿医療研究センターが開発しました。運動と認知課題(計算やしりとりなど)を組み合わせたプログラムです。コグニサイズという言葉は、英語で認知を意味する「cognition」と運動を意味する「exercise」を合わせた造語で、運動の種類によってコグニステップ、コグニウォーキング、コグニダンスなどの名称で呼ばれています。以下にその一部を紹介するのでチャレンジしてみてください。

コグニステップ…「1で右横に足を動かす」「2で右足を戻す」「3で左横に足を動かす」「4で左足を戻す」を1セットとして、1から数を数えながら行うステップ運動です。これに、3の倍数のときに拍手をする認知課題が組み合わされています。ステップを、左右と前にしたり、拍手ではなくて肩をタッチしたりなどバリエーションがあります。

コグニウォーク…大股で歩きながら、しりとりや計算をします。一人でもできますが、ペアで行ったほうが楽しめます。計算をするときは、「100、97、92、89、84……」と、100から始めて、3の引き算と5の引き算を交互にしながら歩きます。

引用:国立長寿医療研究センター作成パンフレット「認知症予防に向けた運動コグニサイズ」

無理なく続けるためのポイントとは?

運動などのトレーニングが認知症予防のためになるとわかっても、継続するのはなかなか難しいですよね。そこで、無理なく続けるための5つのポイントを紹介します。

  • 1.長く続けるためには、頑張り過ぎないことが大切
  • 2.運動機能には個人差があるため、自分の体調や体力に合ったトレーニングを選ぶ
  • 3.簡単な運動から始め、自分のペースに合わせて徐々に運動量を上げていく
  • 4.家族や友人と一緒に楽しみながら行う
  • 5.普段やっていることに+αで実践できるものや、趣味関連のものなど生活に取り入れやすいものから始める

認知症予防のトレーニングのために利用できるサービス

ここまで紹介してきた運動や脳トレは自宅で一人でもできますが、「仲間がほしい」「指導者に教えてもらいたい」という方は、自治体やスポーツクラブなどのサービスを利用するのも一つの方法です。

市区町村の介護予防教室

厚生労働省では、認知症の人が自分らしく暮らし続けられる社会の実現を目指して、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」を策定しています。その中には、認知症の予防推進も盛り込まれており、「介護予防教室」を開く自治体が増えています。
基本的には無料のものが多く、65歳以上であれば介護認定に関係なく参加が可能です。体操教室のほか、口腔ケアや栄養改善などいろいろなコンテンツがあります。その他、民間の企業と連携して脳トレなどのプログラムを実施している自治体や、自宅でできる簡単な体操や運動の動画を公開している自治体もあるので、お住まいの地域包括支援センターや区役所に問い合わせてみてください。

また、厚生労働省のサイト「地域がいきいき 集まろう!通いの場」では高齢者が健康を維持するためのさまざまな情報を公開しています。埼玉県のいろいろなご当地体操動画も公開されているので、利用してみてはいかがですか。

スポーツクラブの介護予防教室

最近は健康を維持するために幅広い年齢層の方々がスポーツクラブに通っています。多彩なプログラムがそろっているのが特徴のスポーツクラブで、運動を習慣化するのもおすすめです。
スポーツクラブによっては、高齢の方向けに筋力アップや姿勢改善、腰痛予防などに加え、脳の活性化による認知症予防プログラムを用意しているところもあります。
高齢者向けではなくても、ヨガやストレッチなどゆったりとした運動を主体としたプログラムも充実しています。仲間を見つけやすいスポーツクラブを利用して、認知症予防に取り組むのもいいですね。

まとめ

認知症を予防するには、体を使った運動や体操、脳を使った知的活動などのトレーニングを毎日の生活に取り入れることが効果的だといわれています。無理なく、継続的に行うためには、楽しみながら行うことが大切です。ここで紹介したさまざまなトレーニングの中から、自分に向いているものを選んで、チャレンジしてみましょう。

<ご参考情報>
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