マインドフルネスとは?ストレス軽減に役立つ?意味や効果、瞑想法を解説


日々の生活で不安やストレスを抱えている方は多いのではないでしょうか。あふれるほどの情報のなかで雑念を振り払い、心を整える手法として「マインドフルネス」が注目されています。マインドフルネスの意味や、どのような効果があるのか、注目される背景を解説します。マインドフルネスを実践する際に用いられる瞑想についても紹介します。


INDEX
マインドフルネスとは?
コロナ禍で「この先どうなるのだろう」「自分が感染したらどうしよう」「誰かを感染させてしまったら……」といった不安感に押しつぶされそうになった経験はありませんか?
自分ではどうしようもできない感染症や災害以外にも、就職のこと、仕事のこと、友達のこと、将来のことなど不安やストレスを感じる要素はたくさんあります。不安を感じるのは誰にでもあることです。しかし、もしそのことばかり考えて不安で頭がいっぱいになったり仕事や勉強に影響したりするときは、不安から距離を置く方法を学んだほうがいいかもしれません。
マインドフルネスとは東洋に古くから伝わる「瞑想」を起源とする考え方です。日常で感じる心配や不安、仕事で下される評価、他人からの評判などつい気になってしまう雑念を払拭し、「今」に心を向けた状態を保つことを目指します。マインドフルネスを実践する手法として呼吸に集中する瞑想法などが用いられます。
メリットとして「集中力を高められる」「不安やストレスが解消される」「心身のコンディションが整えられる」などが挙げられており、医学やビジネスの世界で大きな注目を集めています。
マインドフルネスが
注目されている背景
ビジネスシーンではコロナ禍前から注目されていたマインドフルネス。長引くコロナ禍を経てストレスフルな社会を生き抜く手法として興味を持つ人も増えてきました。マインドフルネスが医学やビジネスシーンに取り入れられるようになった経緯を紹介します。
心理療法として科学的実証が進んできた
マインドフルネスの概念はアメリカやヨーロッパを中心に医療の分野にも取り入れられ、科学的実証が進んでいます。当初はマインドフルネス瞑想法と呼ばれていましたが、最近はマインドフルネストレーニングと呼ぶことも多いようです。
最初に医療に応用したのはマサチューセッツ大学のジョン・カバットジン氏です。1970年代に慢性疼痛や不安障害、がんの患者を対象に8週間のプログラムからなる「マインドフルネスストレス低減法(MBSR)」を開発・実践しました。その後、2000年には、ジンデル・シーガル氏らがうつ病の再発予防プログラムである「マインドフルネス認知療法(MBCT)」を開発しました。
アメリカやヨーロッパではマインドフルネスが心理療法として広く知られるようになりました。MRIを用いた脳の変化、神経活動の活性化などのエビデンスが集められ、ストレスの軽減や能力アップといったさまざまな効果があることもわかってきました。日本でも同様の効果が得られるかの根拠はまだ十分ではないとされていますが、現在、MBCTなどのマインドフルネスプログラムを用いたさまざまな研究が実施されています。今後はメンタルヘルスやウェルビーイングの分野にも応用されることが予想されます。
集中力を高める手法として研修に取り入れる企業も!
医学の分野での活用とは別に、ストレスを軽減し集中力を高める手法としてIT企業などで社員研修への採用例が増加しています。
ビジネスの分野ではアメリカのGoogleが社員研修のためにマインドフルネスの考え方を活用して開発したプログラムが有名です。日本でも「サーチ・インサイド・ユアセルフー仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法」(英治出版)が翻訳され出版されました。
ビジネスシーンでマインドフルネスが注目される背景には何があるのでしょうか。主に人手不足や多忙化による社員のストレス低減、社員の健康を支援する健康経営の視点などが企業側に求められていることが挙げられるでしょう。
マインドフルネス
実践のメリット
マインドフルネスの考え方を日常に取り入れることで、身体面、精神面、仕事面にさまざまなメリットをもたらすと考えられています。
- 集中力の向上
- マインドフルネスの実践方法として、マインドフルネスでは主に呼吸に集中する瞑想法が用いられます。その時々に湧き上がる感情が何かを確認はしますが、それにとらわれることなく呼吸や身体感覚に意識を戻して集中します。繰り返し行うことで、目の前のことに集中する力が高まるといわれています。
- 「~するべきだ」という思考や思い込みから距離を置ける
- 生活面でも仕事面でも「こうあるべきだ」「こうしなければならない」といった価値観にとらわれている方は多いのではないでしょうか。自分も他人もその枠にはめてストレスフルな毎日を送っているのなら、マインドフルネスの考え方を日常に取り入れることで、そうした価値観や思い込みから距離を置くことができます。その結果、気持ちに余裕が生まれ自分の限界を自ら規定することがなくなるので、パフォーマンスの最大化が期待できます。
- ストレスや不安の軽減
- 忙しい日々のなかでどんどんたまるストレスに悩んでいる方もいるでしょう。雑念を払拭し、「今この瞬間」に心を向けるマインドフルネスの考え方を日常に取り入れることで、ストレスや不安が軽減するとされています。
- 自己認識能力(セルフアウェアネス)の向上
- 現在の自分の感情や、自分の強みや弱み、価値観など自分の内面を見つめて理解する力を自己認識能力といいます。普段、何も考えずに行動して失敗したり自分の気持ちとは違う行動をして後悔したりといった経験はありませんか?マインドフルネスの考え方を意識して、継続的に日常に取り入れることで自分の内面を観察し、理解する自己認識能力が高まります。それによって、自己管理能力(セルフマネジメント力)も高まるといわれています。
- コミュニケーション力の向上
- 自分の不安やストレスにとらわれていると周囲の人に気持ちを向けることはなかなかできません。マインドフルネスによってストレスフルな状態が解消されると気持ちに余裕が生まれ、周囲の人とのコミュニケーションが円滑になると期待されています。仕事でリーダーのポジションにいる人にとってはマネジメント力のアップにもつながるといわれています。
マインドフルネス
瞑想法のやり方
マインドフルネスストレス低減法のセルフトレーニングの中から呼吸に注目したエクササイズを紹介します。
呼吸に意識を集中する瞑想法
- 1.背筋を伸ばして椅子に座り、目を軽く閉じる
- 2.呼吸はコントロールせずに自由に行う。ただし、息を吸ったときにはお腹や胸が膨らむのを感じる。息を吐いたときにはお腹や胸がへこむのを感じる
- 3.呼吸に集中しながらも雑念が浮かんで来たら、その雑念は何か確認する。そのうえでまた呼吸に意識を戻す
このエクササイズは1日15分ほど実践するのがいいとされています。自分にとって無理のない時間帯に、とにかく1週間続けてみてください。自分にどのような変化が表れるのか観察してみましょう。
マインドフルネスの活用法
基本の瞑想法を紹介しましたが、普段意識せずに行っている呼吸に意識を向け集中することで、その時々の自分の判断や行動にも意識を向けやすくなります。ストレスを感じているとき、焦っているときほどまず深呼吸をして、自分の行動を振り返ってみるのがおすすめです。「~するべきだ思考」にとらわれていないか、思い込みで判断しようとしていないかなど一呼吸置いて考えてみましょう。
マインドフルネスの考え方を取り入れたエクササイズは呼吸に集中する瞑想法のほかにもあります。たとえば、自分の身体を意識して観察するボディスキャンや、1粒のレーズンを食べる行動を細分化して工程を丁寧に味わうレーズンのエクササイズ、川を流れる葉っぱをイメージしながら浮かんでくる思考に意識を向ける葉っぱのエクササイズなどです。
なお、重度のうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えている方は、マインドフルネスによってさらに症状が悪化してしまう危険性があるといわれています。もし、そのような症状を抱えている方がマインドフルネスの瞑想法やエクササイズを実践する際は必ず医師と相談してください。
まとめ
マインドフルネスの考え方を日常に取り入れて、自分の呼吸に意識を集中して雑念を振り払うことで、心が整うだけでなく、さまざまなメリットがあります。日頃、仕事にストレスを感じている方、情報過多で不安に陥っている方などストレスフルな社会を生き抜く手掛かりとして、マインドフルネスの考え方を日常に取り入れてみてはいかがですか。
- 2024/08/07新規作成


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