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ヤングケアラー、若者ケアラーとは?
困りごとにぶつかったときのために知っておきたい相談窓口

ヤングケアラー、若者ケアラーとは?困りごとにぶつかったときのために知っておきたい相談窓口 ヤングケアラー、若者ケアラーとは?困りごとにぶつかったときのために知っておきたい相談窓口

ここ最近、「ヤングケアラー」や「若者ケアラー」という言葉を耳にする機会が増えています。ヤングケアラーの問題点を取り上げる特集が組まれることもあり、自身の問題として、あるいは周囲にそういう方がいればどんなフォローができるのかと考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ヤングケアラーや若者ケアラーの定義や実態、行政の相談窓口など、直面する困りごとの解決に役立つ情報を紹介します。

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伊谷 俊宜

監修者プロフィール

伊谷 俊宜 /
介護 経営コンサルタント

介護保険施行前より中心メンバーとして、数々の特別養護老人ホーム、グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。その後、大手介護事業者に入社し、介護付有料老人ホームやサ高住の立ち上げ、複数施設の運営、管理職育成などに関わる。
現在は、現場第一主義を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施設づくり」を積極的にサポートしている。講演・執筆活動も多数行っている。

ヤングケアラーとは?

どのような人が「ヤングケアラー」なのか?何となく想像はできても、具体的なことはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。まず、ヤングケアラーの定義と実態を紹介します。

日常的に家事や家族の世話をする18歳未満の子ども

ヤングケアラーについて、現時点では法令的な定義はありませんが、一般に、「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」とされています。

また、家族などを無償で介護するケアラーを地域や社会で支える仕組みづくりを目指す「一般社団法人日本ケアラー連盟」では、ヤングケアラーを以下のように定義しています。

「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子どものこと」

ケアを要する人とは、主に障がいや病気のある親や祖父母ですが、きょうだいや親族の場合もあります。同連盟の資料によると、具体的には、ヤングケアラーは以下の家事やケアを日常的に担っている子どもです。

  • 買い物、料理、洗濯、掃除などの家事
  • 入浴やトイレ介助などの身辺ケア
  • 着替えや移動介助などの一般的なケア
  • 投薬管理などの医療的ケア
  • 見守り、励ましなどの情緒面のケア
  • 幼いきょうだいの世話や見守り
  • 家計を支えるためのアルバイトなどの労働
  • アルコールや薬物、ギャンブルなどの問題を抱える家族への対応
  • 日本語が第一言語ではない家族の通訳

ヤングケアラーの実態は?

では、ヤングケアラーに該当する子どもは実際どれくらいいるのでしょうか?
厚生労働省の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」として、2020年度、2021年度に実施された「ヤングケアラーの実態に関する調査研究」から紹介します。

2020年度の調査では、中学2年生、高校2年生の子ども本人を対象とした調査が行われており、世話をしている家族が「いる」と回答したのは、中学2年生5.7%、全日制高校2年生4.1%などの実態が明らかとなりました。

2021年度の調査では、小学6年生を対象とした全国調査が行われており、「家族の世話をしている」と回答した小学生は6.5%いました。そのうち、世話をしている家族は「きょうだい」が71.0%と最も多く、次いで「母親」が19.8%という結果でした。また、健康状態が「よくない・あまりよくない」、遅刻・早退を「たまにする・よくする」と回答した割合が、世話をしている家族がいない人よりも2倍前後高いほか、「授業中に寝てしまう」「忘れ物が多い」「宿題ができない」など日常生活への影響が見られました。

若者ケアラーとヤングケアラーの違い

ヤングケアラーとは別に、若者ケアラーという言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
18歳以下のケアラーを指してヤングケアラーというのに対して、若者ケアラーとは主に18歳〜30歳代までのケアラーを指します。

ヤングケアラーとほぼ同じ内容の家事やケアを担うものの、子どもではないという点で、それ以上の責任を背負うケースもあるでしょう。また、子どもではないけれど、通常のケアラーと同じサポートで事足りるかというと決してそうとは言い切れません。この年代の方は、ケアを担うことにより、自身の人生を左右する進学や就職、キャリア形成、結婚、出産などに大きな影響が出てくる可能性があり、若い世代特有の課題、支援を考える必要があります。

ヤングケアラーの支援体制を知っておこう

ヤングケアラーが抱える困りごとを少しでも解消するためには、本人や周囲の大人が、地域の支援体制や相談窓口についてあらかじめ知っておくことも重要です。ここからは、自治体や国の支援体制を紹介するのでお役立てください。

埼玉県では全国に先駆けケアラー支援条例を制定

ケアラー支援に関する条例を2020年3月、全国に先駆けて制定したのが埼玉県です。条例のなかには、ケアラーとは別にヤングケアラーの定義も定められており、ヤングケアラーと関わる教育関係機関の役割なども記載されています。

なお、埼玉県では、以下のような相談窓口などを設けています。

ヤングケアラー向けLINE相談「埼玉県ヤングケアラーチャンネル」(埼玉県ホームページへのリンク)
元ヤングケアラーに、ケアのこと、家族のこと、将来のことなど何でも相談できます。
平日11時00分~20時00分(祝日、年末年始を除く)※メッセージの送信は毎日24時間可能

ヤングケアラーの市町村窓口(埼玉県ホームページへのリンク)
埼玉県内の各市町村にも相談窓口があります。地域によってサポート体制も異なるため、具体的な支援体制が知りたい場合はこちらに相談してみましょう。

ヤングケアラーオンラインサロン(埼玉県ホームページへのリンク)
毎月1回、ヤングケアラー同士で不安や悩みを話し合えるオンラインサロンが開催されています。日程の詳細はLINEの「埼玉県ヤングケアラーチャンネル」に掲載されます。

ヤングケアラーハンドブック「ヤングケアラーってなに?」(埼玉県ホームページへのリンク)
本人や周囲の大人がヤングケアラーの問題点や、相談窓口、困りごとの相談方法などを知る手助けになるハンドブックです。小学生編、中学生編、高校生編の3種類があり、PDFの形で提供されています。

埼玉県以外にも、茨城県や北海道、三重県名張市、栃木県那須町など複数の自治体でケアラー支援条例を制定しており、特に条例を制定していないところでも、支援を打ち出しているケースもあります。

国が掲げる相談窓口

厚生労働省ではヤングケアラーに関する特設サイト「子どもが子どもでいられる街に。~みんなでヤングケアラーを支える社会を目指して~」を設け、ヤングケアラーの現状や直面する問題について解説記事を掲載しているほか、相談窓口として以下を紹介しています。

若者ケアラーが
仕事を続けるために
知っておきたいこと

ヤングケアラーの問題を指摘する声が大きくなり、徐々にですが支援体制を整えようとする機運が高まりつつあります。一方、若者ケアラーの問題点はまだまだ見過ごされているといえるかもしれません。

若者ケアラーは仕事をしながら家族の世話をしているケースも多く、ケアする家族の病状が重くなれば、介護離職をしなければならない状況が発生する可能性もあります。その際、仕事を続けるために知っておいた方がいい対処ポイントを紹介します。

家族のケアを一人で抱え込まない

義務感や罪悪感から介護のプロに頼むことを躊躇する方もいます。また、支援を受けられることを知らない方もいるかもしれません。一人で抱え込むと、家族も自分の生活も立ちいかなくなる可能性があるので、まずは外部の人を頼ることを考えてみましょう。

地域包括センターなど身近な相談窓口に連絡する

一番身近で、具体的なサポートを受けられるのが地域包括センターです。お住いの自治体の情報を調べ、直接電話で相談してみることをおすすめします。

国の制度や会社の制度を積極的に
利用する

介護のプロに相談することで、仕事を辞めずに介護と両立する道も見えてくるでしょう。わからないことはケアマネージャーやヘルパー、介護施設関係者などに聞き、利用できる国の制度にはどんなものがあるのか、知ることも大切です。介護保険制度の介護サービスと組み合わせて、介護休暇や介護のための介護休業を活用する方法もあります。有給か無給かは、会社の規定によりますので、就業規則をよく確認しましょう。雇用保険の被保険者の方が介護休業をした場合は、一定の要件を満たすと介護休業給付が支給されます。

なお、埼玉県では、「仕事と介護・子育て・治療の両立支援窓口」(埼玉県ホームページへのリンク)を開設しています。電話やインターネットを通じて相談(無料)できるので、仕事との両立で悩んだときはすぐに相談してみましょう。

まとめ

家事や家族の世話で、学業や仕事に影響が出ている人はヤングケアラー、若者ケアラーかもしれません。どこに相談したらいいのかわからず、一人で抱え込み孤立してしまうケースも少なくないため、まずは相談先や支援体制の情報を得て、困りごとにぶつかったり、そうした状態になりそうなときは早めに相談することが重要です。
また、ヤングケアラーのサポートには、身近にいて信頼できる大人、安心してつながれる大人の存在が必要です。もし身近にヤングケアラーがいると気づいたら、気に掛ける、「何かあったらいつでも言って」など声掛けをするなどできる範囲でいいので、サポートすることを心掛けてみてください。

  • 2023/03/01新規作成
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