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監修者プロフィール
續 恵美子 /
日本FP協会認定CFP(R)
生涯学習を簡単に説明すると?
まずは、生涯学習の概要を理解しておきましょう。ここでは、生涯学習の概要や生涯学習と混同されることの多いリカレント教育との違いについて解説します。
生活を豊かにする生涯学習
生涯学習とは、一生涯に行う以下のようなさまざまな学習活動です。
- 学校教育
- 家庭教育
- 社会教育
- 文化活動
- スポーツ活動
- レクリエーション活動
- ボランティア活動
- 企業内教育
- 趣味など
一生涯のなかで「いつでも」「どこでも」「自由に」学習機会を選択し、学ぶことができるため、生涯学習と呼ばれています。「人生100年時代」へと社会が大きく転換しているなか、生涯学習の重要性が一層高まっており、政府も文部科学省を中心に生涯学習を推進しています。
生涯学習とリカレント教育の違い
リカレント教育を一言で説明すると、「社会人の学び直し」です。この言葉は、英語のrecurrentから来ており、日本語では「繰り返す」「循環する」「再発する」といった意味があります。つまり、学校教育を終えて社会に出た人が、仕事と教育を繰り返すことを意味します。
例えば、以下のようなケースもリカレント教育といえます。
- 仕事をしながら就業後に大学に通う
- 通信講座を受ける
- 社内勉強会に参加する
学習する内容は、外国語・法律・会計・プログラミングスキルなど、仕事に活かすための実践的な知識です。
リカレント教育も生涯学習も、どちらも「生涯での学び」を表す言葉ですが、後者が学び全般を指すのに対し、リカレント教育は仕事に活かすための学びを指す点で異なります。
生涯学習の4つのメリット
生涯学習をすることで、どのようなメリットがあるのか知っておくと、より興味がわくかもしれません。ここでは、生涯学習のメリットを4つ紹介します。
日々の楽しみや生きがいがうまれる
生涯学習は、仕事や社会で必要な知識だけでなく、文化やスポーツ・健康・料理・お金など、多岐にわたるテーマにおいて自分の好きなことや、興味があることを学習していくものです。
例えば、絵画が好きな人は美術館で鑑賞して感性を磨くほか、好きな画家について学んだり、自分で作画したりすることで喜びを感じるでしょう。外国に興味がある人は、その国の文化や歴史・言語・食生活などについて学んでいくうちに、「海外を巡る」という楽しみができるかもしれません。
このように、生涯学習は、生活にさまざまな楽しみや生きがいを持てるメリットがあります。また、外国語など、生涯学習の内容によってはスキルアップにつながることもあるでしょう。
新しいコミュニティを形成できる
生涯学習によって、職場や家庭以外のコミュニティとの関わりがうまれる点もメリットの一つです。生涯学習は、趣味や好きなことについての学びとなるため、生涯学習を通じて形成した人間関係は、一生涯続くこともあります。
コミュニティに属することで、人とのつながりが保たれるため、外に出る機会も増えるかもしれません。これは、長い人生のなかで孤立を防ぐためにも大切なことです。
視野が広がる
人生100年時代やデジタル社会など、社会は日々変化しています。変化していく社会に対応し順応していくためには、視野の広さが必要です。
生涯学習を通して幅広い分野の知識に触れるなかで、多くの職種や世代の人と関わることができます。一緒に学ぶ人たちと関わり続けているうちに、自分の視野や考え方も広がっていくでしょう。
豊かな老後につながる
生涯学習で得られた生きがいやコミュニティ、幅広い知識によって精神的に豊かな老後を過ごせる点もメリットです。また、生涯学習で得た知識を活かしてリタイア後に起業・再就職すれば、老後資金の確保にもつながります。経済的にも豊かな老後を過ごせるようになるでしょう。
なお、老後をより過ごしやすくするには、生涯学習と併せて老後資金について考えることも重要です。お金について学ぶ、生涯学習で得られた縁で老後資金準備に役立てるなど、資金面に関しても積極的に考えておくことをおすすめします。
生涯学習の種類と具体例
ここからは、生涯学習の種類を具体例とともに紹介します。
家庭での生涯学習
生涯学習の原点となるのが、家庭での学習です。家庭での学習と聞くと、机に座って宿題をやったり問題集を解いたりするイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、家庭における生涯学習は机に向かって行う学習とは異なります。
具体的には、親子のふれあい・自然とのふれあい・遊び・地域住民との関わりなどのなかで、生活に必要な基本的知識や食生活、生活リズムを身につけることです。
学校での生涯学習
学校教育は生涯学習の基礎です。特に、義務教育となる小中学校での教育は、自ら学ぶ意欲や態度を育てる意味でも重要です。具体的には、カリキュラムをもとにした指導で基礎学力を身につけ、「わかる喜び」「学ぶ楽しさ」を得ることを目指します。
また、同級生・下級生・上級生など、同世代の他者との関わりを通して、学ぶ力や他者との関わり方を学ぶことも可能です。義務教育後は、高校・大学・専門学校など、より自分のやりたいことを中心に学習できる環境が整っています。
学校を卒業して社会人になってからも、大学や専門学校に戻り、興味・関心のある分野について知識を深めることは可能です。社会人向けの夜間学部や通信教育制度、公開講座などを設けている大学もあります。
社会での生涯学習
社会での生涯学習は、学びたい人たちの主体的な学習ニーズをもとに実践されるのが特徴です。公民館や図書館・博物館・青少年教育施設などがさまざまな学習プログラムを提供しており、文化活動やスポーツ活動・ボランティア活動などといった趣味も、生涯学習に含まれます。
社会での生涯学習は、学校や家庭での学習とは異なり、より自分の意思に即した学習をすることで、日々の生活での生きがいがうまれやすくなるでしょう。
企業での生涯学習
前述したリカレント教育とは別に、社員に生涯学習を推進する企業もあります。とはいえ、企業での生涯学習は、直接的・間接的に仕事に役立つ能力の向上がメインといえるでしょう。社員が生涯学習でより豊かな知識や視野を持つようになれば、業務においてもスキルの向上が望めるからです。
また、社員がより豊かな知識や視野を持つことは人材育成につながり、企業にとってもメリットがあります。おもな学習内容は、外国語学習・リーダーシップ論・OAシステム講座などです。
生涯学習をはじめるには?生涯学習の選び方と学習場所
ここからは、実際に生涯学習をはじめる方法について見ていきましょう。どんな生涯学習を、どこで学べるかについて説明します。
生涯学習の選び方
生涯学習は、学ぶテーマが幅広く多種多様なものがあります。「これを学びたい」といった特定のテーマが見つからない場合は、まず自分が好きなことや、興味のあることから生涯学習の内容を考えてみてください。
例えば、料理・絵画・生け花・陶芸・ワイン・アロマなどの講座に通うのも、選択肢の一つです。語学やプログラミングなど、若いころに学ぶ機会がなかったものの興味があるといった内容から選んでもよいでしょう。
生涯学習は、学校や職場で義務的に習得を要される学習などとは違い、あくまで自分の希望や都合に合わせて学ぶものです。あくまでも自発的に学ぶため、モチベーションの維持が難しいと感じるかもしれません。
学習継続に自信がない方は、コミュニティに参加して誰かと一緒に学習することがおすすめです。学習した内容をSNSで発信していくうちに、仲間ができる可能性もあります。
また、時間にあまり余裕がない現役世代の方は、仕事に役立つことや、定年後にやりたいことを学習するのもおすすめです。「自分のスキルや収入アップに役立てたい」という目標があれば、忙しくても続けやすくなります。
生涯学習を受けられる場所
人生100年時代ともいわれる昨今、地域住民の豊かな暮らしを目指し、地方公共団体がさまざまな施設で生涯学習を推進しています。
地域の生涯学習センターやカルチャーセンターに問い合わせると、実施されている講座や、他の施設での生涯学習の情報を教えてもらうことができます。
その他、以下のような施設も利用してみてください。自主的な学びや運動ができるほか、各施設で独自の生涯学習プログラムを提供しています。
- 図書館や美術館、博物館、スポーツジム
- 民間企業や個人が主催するセミナー
- 大学の公開講座、放送大学 など
プログラムは、各施設の掲示板やホームページなどに掲載されているため、定期的にチェックしてみましょう。
まとめ
人生100年時代と呼ばれる時代が訪れているなか、人生を豊かにする大切なものとして生涯学習が注目されています。生涯学習は、文化やスポーツ・健康・料理・お金など、あらゆるテーマにおいて、自分の興味や関心に合わせて自由に学習テーマや機会を選んで学ぶものです。
生涯学習には、生きがいや人脈の形成、視野が広がり人格が磨かれるなどさまざまなメリットがあります。皆さんも興味があることから学習内容を選び、早めに取り組んでみてはいかがでしょうか。
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