いざという時に備える食料備蓄法「ローリングストック」を日常に取り入れよう
地震や台風などの大きな災害が起きると、電気、ガス、水道などのライフラインや物流がストップしてしまいます。そのため、日頃から自宅に食材を備えておくことが大切です。
簡単な食料の備蓄法としておすすめしたいのが、普段食べ慣れている食品を少し多めに買い置きして、食べたらその分を買い足す「ローリングストック」という方法です。この記事では、ローリングストックの基本的な考え方や実践の仕方を紹介します。
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ローリングストックは、日常生活に無理なく取り入れられる備蓄法
災害に備えた食料の備蓄と聞くと、何か特別なことなのかと身構えてしまいがちです。また、いわゆる非常食(乾パンやアルファ米など)は長期保存できるがゆえに、消費期限が過ぎたまま放置してしまったという経験がある方もいるのではないでしょうか。日頃食べ慣れていないものも多く、いざという時に非常食だけでは不安だと感じる人もいるでしょう。
ローリングストックは、普段食べ慣れた食品を少し多めに買い置きしておき備蓄食品としても活用する方法です。賞味期限を考えて古いものから消費し、食べてしまった分をまた買い足しておくことで、常に一定量が家庭に備蓄されている状態を保ちます。
- 【ローリングストックの具体的なやり方】
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- 1.日頃からよくストックしている食品をチェックする
- 2.栄養バランスを考え、改めて家族の好みや人数に応じた備蓄食品の種類および量を決定する
- 3.2で決めた備蓄食品で足りないものを買い足す
- 4.賞味期限が切れる前に消費し、消費したものは買い足す
消費と補充を繰り返すローリングストックであれば、例えば、買い物前にストックしている場所をチェックするといった工夫で無理なく続けられます。また、日常が大きく変化する災害時において、食の面だけでもいつもと変わりなく過ごせれば精神的な安定にもつながります。ローリングストックを日常生活に取り入れながら、いざというときの備えを進めましょう。
ローリングストック、備蓄の目安はどのくらい?
災害発生からライフライン復旧までは、1週間以上を要することが多いといわれています。災害支援物資がすぐに手元に届くとは限りません。さらに、スーパーマーケットなどへ行っても食品が手に入らないことが想定されます。
家庭での備蓄食品は「最低3日分~1週間分×人数分」が望ましいとされています。
ご家庭ごとに備蓄に必要な分量は異なります。自治体のハザードマップなども確認して、住んでいる地域の状況に応じてどれだけ備えればいいかを考えましょう。また、乳幼児や高齢者、アレルギーのある家族がいる場合は、個別の配慮が必要になります。災害時に身軽に動ける人がいないご家庭などでは1週間分より多い2週間分など多めに備えるようにするとさらに安心です。
備蓄する食品はどのようなものを選ぶとよい?
備蓄食品は基本的に各ご家庭の好みで選べばいいとはいえ迷ってしまいますよね。被災直後はおにぎりやカップ麺など炭水化物中心の食事になりがちです。栄養のバランスが崩れると体調を崩す恐れがあるため、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルを取れるような食品をそろえておきましょう。
今は、味にこだわって作られたレトルト食品や缶詰がたくさんあります。手軽にタンパク質がとれるだけでなく缶詰やレトルト食品は長期保存にも適しています。普段の食生活のなかで好みの味をみつけながら、備蓄を進めていきましょう。備蓄食品の例を「災害時に備えた食品ストックガイド(外部サイトへのリンク)」(農林水産省)を参考に紹介します。※リンク元の情報を参考に当社が一部編集・加工して紹介しています。
- 〈主食〉
- 無洗米、パックご飯、餅、米粉、小麦粉、乾麺、即席麵、カップ麺、缶詰入りのパンなど
- 〈主菜〉
- 肉・魚・豆などの缶詰、カレーやパスタソースなどのレトルト食品、長期保存可能な充填豆腐、丼などのフリーズドライソース類など
- 〈副菜〉
- インスタント味噌汁、即席スープ、野菜の缶詰、野菜ジュース、切り干し大根、わかめなどの乾物、根菜類などの日持ちする野菜、梅干、漬物など
- 〈果物〉
- リンゴなどの日持ちする果物、果物の缶詰、果物ジュース、ドライフルーツなど
- 〈牛乳、乳製品〉
- 常温で保存できるロングライフ牛乳、粉チーズ、スキムミルクなど
- 〈菓子・嗜好品〉
- 飴、氷糖、羊羹、チョコレート、ビスケット、せんべい、スナック菓子など
- 〈調味料〉
- 塩、しょうゆ、味噌、酢、砂糖、食用油、ケチャップ、マヨネーズ、バターなど
- 〈その他〉
- ふりかけ、ジャム、はちみつなど
そして、忘れてはならない必需品が「水」です。飲料水および料理用として一人当たり1日3リットルを目安にペットボトルなどで備蓄しておきましょう。日頃飲み慣れているお茶や清涼飲料水があれば水とは別に備蓄するのがおすすめです。日頃ウォーターサーバーを使っている人は災害時や停電時にも使えるものなのか確認しておく必要があります。また、ミネラルウォーターは、5年から10年保存ができる長期保存型もありますので、賞味期限切れが心配な方は、こうしたものを選んでおくとより安心です。
食品以外にそろえておきたいものとは?
せっかく用意した備蓄食品も調理器具がなくて食べられないということにならないように、食品以外にそろえておきたい備品について解説します。
- カセットコンロ、カセットボンベ
- 食品を温めたり調理したり、お湯を沸かしたりするためには熱源が必要です。カセットコンロと鍋ややかんを用意しておきましょう。カセットボンベの目安は1人1週間当たり約6本です。
- 食品用ポリ袋
- 災害で断水すると手を洗うのも困難になります。ポリ袋を手にかぶせて手袋代わりに使えます。また、調理する材料を混ぜるボウル代わりにもできます。耐熱のボリ袋なら湯煎調理も可能です。
- ラップ、アルミホイル
- 食器に敷けば洗い物を削減できます。特にラップは直接手で触れずにおにぎりなどを作れるので多めに準備しておきましょう。
- わりばし、紙皿
- 使い捨ての割り箸やカトラリー、紙皿があると洗い物の水を節約できます。
- キッチンペーパー
- ふきん、タオルの代わりに使えます。
- 除菌スプレー
- 手洗い用の水の代わりに、あるいは衛生状態を確保するために活用しましょう。
まとめ
ローリングストックの食材は取り出しやすい場所に保管し、管理しやすい状態にしておきましょう。古いものを手前に、新しいものを奥において、賞味期限の短いものから使うようにします。
時々、耐熱のポリ袋で湯煎調理をしてみるなど、非常時のリハーサルをしてみるとよいでしょう。キャンプで保存食を使った調理にチャレンジしてみるのもおすすめです。
ローリングストックという新しい備蓄法を日常生活のなかに組み込んで、いざという時に備えておきましょう。