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監修者プロフィール
株式会社地域デザインラボさいたま
荒川と利根川の伏流水が豊かな味わいの日本酒を生み出す
埼玉県に多くの蔵元があり、おいしい日本酒が造られている理由をひもといてみましょう。
1. 埼玉県は全国でも有数の酒どころ
「えっ、意外!」と思われるかもしれませんが、埼玉県は全国でもトップクラスの酒どころ。国税庁の「令和2酒造年度都道府県別清酒製造数量」によれば、兵庫・京都・新潟に続き、埼玉県は清酒の製造数量で全国4位となっています※1。また、2023年1月現在、県内には34の蔵元が存在します※2。日本酒好きの方にはぜひ、埼玉のお酒を飲んでいただきたいもの。きっとお気に入りの1本が見つかるはずです。
2. 良質な伏流水で仕込みを行い、酒米の開発も進める
埼玉県が屈指の酒どころである理由は、荒川と利根川という二つの大河にあります。利根川水系に比べると荒川水系の方がやや水の硬度が高いようですが、おおむね埼玉県の水は軟水です。県内の酒蔵はこれらの水系の伏流水を用いて酒を仕込んでおり、やわらかく口当たりの良いまろやかな酒ができるのです。
2004年には、県内で12年の歳月をかけて開発された新しい酒米「さけ武蔵」が誕生。大粒の品種で、米粒の中心にでんぷんがぎっしりと詰まっているのが特徴です。良質の麹ができる米で、純米酒など高級酒に多く使われます。県内にある17の蔵元が「さけ武蔵」を使用したお酒を製造しています。
また、2005年に「彩の国酒造り学校」を開校。県内の若手酒造技術者を集めて研修などを行い、醸造技術の向上に務めています。
次に、埼玉県内にある蔵元を一軒ずつご紹介していきます。気になる蔵元をチェックしてくださいね。
埼玉の蔵元を知ろう【埼玉中部】
さいたま市、上尾市、蓮田市など埼玉中部の蔵元をご紹介します。
1. 内木酒造(さいたま市)
安永4年(1775年)創業。旧浦和唯一の酒蔵として現在に至ります。代表銘柄は「旭正宗」。
所在地:埼玉県さいたま市桜区西堀6-13-15
公式サイト:https://uchiki-s.wixsite.com/uchikisake
2. 大瀧酒造(さいたま市)
明治17年(1884年)創業で、現在は4代目が酒蔵を守っています。直売所もあります。代表銘柄は「九重桜」。
所在地:埼玉県さいたま市見沼区膝子663
公式サイト:https://otakisake.com/
3. 小山本家酒造(さいたま市)
文化5年(1808年)創業。代表銘柄は創業200周年の節目に誕生した「金紋世界鷹」で、埼玉県内限定販売です。
所在地:埼玉県さいたま市西区大字指扇1798番地
公式サイト:https://www.koyamahonke.co.jp/
4. 北西酒造(上尾市)
明治27年(1894年)創業。秩父からの豊富な地下水を仕込み水に使っています。麹の甘酒や塩麹など新しい試みにも積極的。代表銘柄は「文楽」。
所在地:埼玉県上尾市上町2-5-5
公式サイト:https://www.kitanishishuzo.co.jp/company/
5. 鈴木酒造 (さいたま市)
明治4年(1871年)創業。高品位の吟譲酒に力を入れています。直売店や試飲コーナーのある酒蔵資料館もあり。代表銘柄は「万両」。
所在地:埼玉県さいたま市岩槻区本町4-8-24
公式サイト:https://www.sakekura.net/
6. 神亀酒造(蓮田市)
嘉永元年(1848年)創業。昭和62年(1987年)には、仕込む酒の全てを純米酒に転換。代表銘柄は「神亀」。
所在地:埼玉県蓮田市馬込3-74
公式サイト:https://shinkame.co.jp/
7. 清龍酒造(蓮田市)
慶応元年(1865年)創業。直営居酒屋の開設や蔵元での直売など新しいスタイルにチャレンジ。代表銘柄は「清龍」。
所在地:埼玉県蓮田市閏戸659-3
公式サイト:https://www.seiryu-syuzou.co.jp/syuzou/
8. 寒梅酒造(久喜市)
文政4年(1821年)創業。目と手の行き届く、小さくこだわりの酒造りを心掛けています。代表銘柄は「寒梅」。
所在地:埼玉県久喜市久喜中央2-9-27
9. 石井酒造(幸手市)
天保11年(1840年)創業。米、水、酵母等全てを埼玉県にこだわった「豊明」が代表銘柄。
所在地:埼玉県幸手市南2-6-11
公式サイト:https://www.ishii-syuzo.jp/home.html
埼玉の蔵元を知ろう【埼玉西部】
川越市、飯能市、日高市など埼玉西部の蔵元をご紹介します。
1. 麻原酒造(入間郡毛呂山町)
明治15年(1882年)創業。日本酒、焼酎のほか国産や地域の特産果物を使用したリキュールやワイン、ビールも製造。代表銘柄は「琵琶のささ浪」。
所在地:埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷94
公式サイト:https://www.musashino-asahara.jp/
2. 佐藤酒造店(入間郡越生町)
弘化元年(1844年)創業。手造り小仕込みで「ふくらみのある後味の軽い酒」がモットー。代表銘柄は「越生梅林」。
所在地:埼玉県入間郡越生町大字津久根141-1
公式サイト:http://www.satoshuzou.co.jp/
3. 長澤酒造(日高市)
弘化元年(1844)創業。高麗川の良質な水と吟味されたお米で昔ながらの酒造りをしています。代表銘柄は「高麗王」。
所在地:埼玉県日高市北平沢335
公式サイト:http://nagasawasyuzou.com/
4. 小江戸鏡山酒造(川越市)
長い歴史を閉じた鏡山酒造の再興を望む声に応え、平成19年(2007年)創業。テニスコート一面分の極小蔵です。代表銘柄は「鏡山」。
所在地:埼玉県川越市仲町10-13
公式サイト:https://www.kagamiyama.jp/
5. 五十嵐酒造(飯能市)
明治30年(1897年)創業。代表銘柄「天覧山」の酒蔵は名栗川と成木川の合流点に接して建ち、伏流水を井戸から汲み上げています。
所在地:埼玉県飯能市大字川寺667-1
公式サイト:https://www.snw.co.jp/~iga_s/
6. 晴雲酒造(比企郡小川町)
明治35年(1902年)創業。小川町の水質の良さは灘の宮水に匹敵すると言われており、「関東灘」の別名も。代表銘柄は「晴雲」。
所在地:埼玉県比企郡小川町大塚178-2
公式サイト:https://www.seiun-sake.co.jp/
7. 松岡醸造(比企郡小川町)
嘉永4年(1851年)創業。日本酒において硬度トップクラスの特殊な石灰岩系の硬水を使用しています。代表銘柄は「帝松」。
所在地:埼玉県比企郡小川町下古寺7-2
公式サイト:https://www.mikadomatsu.com/
埼玉の蔵元を知ろう【埼玉北部】
秩父市、熊谷市、深谷市など埼玉北部の酒蔵をご紹介します。
1. 矢尾本店(秩父市)
寛延2年(1749年)創業。代表銘柄「秩父錦」は、澄んだ空気と寒暖の差の激しい秩父で産まれ、秩父で愛される銘酒です。
所在地:埼玉県秩父市別所久保ノ入1432
公式サイト:https://chichibunishiki.com/
2. 武甲酒造 柳田総本店(秩父市)
宝暦3年(1753年)創業。店舗は国指定登録有形文化財です。代表銘柄は、平成の名水百選に選ばれた仕込水で造られる「武甲正宗」。
所在地:埼玉県秩父市宮側町21-27
公式サイト:https://www.bukou.co.jp/
3. タイセー秩父菊水酒造所(秩父市)
寛永2年(1625年)創業。昔ながらの手造り製法にこだわり、日本酒本来の芳醇でしっかりした味わいが特徴。代表銘柄は「秩父小次郎」。
所在地:埼玉県秩父市下吉田3786-1
4. 藤﨑摠兵衛商店(秩父郡長瀞町)
享保13年(1728年)創業。酒米は埼玉県産のみ、長瀞風布地区に湧き出す天然水で仕込んでいます。代表銘柄は「長瀞」。
所在地:埼玉県秩父郡長瀞町大字長瀞1158番地
公式サイト:https://nagatorogura.co.jp/
5. 権田酒造(熊谷市)
嘉永3年(1850年)創業。昔ながらの手造りで、全てのもろみを槽(ふな)掛けで2~3日かけて搾っています。代表銘柄は「直実」。
所在地:埼玉県熊谷市三ケ尻1491
公式サイト:https://www.gondasyuzou.com/
6. 藤橋藤三郎商店(深谷市)
嘉永元年(1848年)創業。代表銘柄は、関東の「東」、酒の清らかさを「白」、清酒の香りを「菊」で表現した「東白菊」です。
所在地:埼玉県深谷市仲町4-10
公式サイト:https://azuma.backnumber.shop/
7. 滝澤酒造(深谷市)
文久3年(1863年)創業。繊細な温度管理を行う麹室や蔵は、保温性と保湿性の高い深谷産煉瓦で建てられています。代表銘柄は「菊泉」。
所在地:埼玉県深谷市田所町9-20
公式サイト:https://kikuizumi.jp/
8. 丸山酒造(深谷市)
明治6年(1873年)創業。乾燥した気候と豊富な水資源という恵まれた環境で、寒造りに徹した酒造りを行っています。代表銘柄は「金大星正宗」。
所在地:埼玉県深谷市横瀬1323
公式サイト:https://www.maruyamasz.com/
9. 横関酒造店(児玉郡美里町)
明治13年(1880年)創業。埼玉県で一番小さな酒蔵。蔵元直売ならではの出来たてのお酒を提供しています。代表銘柄は「天仁」。
所在地:埼玉県児玉郡美里町大字猪俣3214-1
公式サイト:https://www.yokozeki-syuzo.jp/
10. 川端酒造(行田市)
安政7年(1860年)創業。代表銘柄の「桝川」は、全国新酒鑑評会にて平成23年と平成24年の2年連続金賞を受賞しています。
所在地:埼玉県行田市佐間2-9-8
公式サイト:https://www.kawabatashuzou.co.jp/
11. 横田酒造(行田市)
文化2年(1805年)創業。酒米は全て玄米のまま取り寄せ、全量を自家精米しています。代表銘柄は「日本橋」。
所在地:埼玉県行田市桜町2-29-3
公式サイト:https://yokota-shuzou.co.jp/
12. 南陽釀造(羽生市)
万延元年(1860年)創業。小さい仕込量で1本ずつ丁寧に醸しています。代表銘柄の「花陽浴」は入手困難な日本酒として有名。
所在地:埼玉県羽生市上新郷5951
公式サイト:http://www.nanyo-jozo.com/
13. 清水酒造(加須市)
創業は明治初期。小さな手造りの蔵だからこそできる、特徴のある高品質の酒を造り続けることにこだわっています。代表銘柄は「亀甲花菱」。
所在地:埼玉県加須市戸室1006
14. 釜屋(加須市)
寛延元年(1748年)創業。伝統的な生酛仕込みから、近代的な瓶内二次発酵やワイン酵母仕込みなど多様な酒造りが特徴。代表銘柄は「力士」。
所在地:埼玉県加須市騎西1162
公式サイト:https://www.rikishi.co.jp/
15. 東亜酒造(羽生市)
寛永2年(1625年)創業。代表銘柄「晴菊」は、全国燗酒コンテスト2020金賞やIWC2020「SAKE部門」ゴールドメダルなどを受賞しています。
所在地:埼玉県羽生市西4丁目1-11
公式サイト:https://www.toashuzo.com/
16. キング醸造 羽生工場(羽生市)
明治33年(1900年)創業。代表銘柄の「円満家族鬼ころし」は、和・洋・中どんな料理にもあわせやすいクセのなさが好評です。
所在地:埼玉県羽生市西4-1-11
まとめ
埼玉県には、魅力的な蔵元が数多くあることがお分かりいただけたと思います。埼玉の地酒はバラエティ豊かですから、きっとお好みの銘柄が見つかることでしょう。ぜひ、飲み比べをしてお気に入りの1本を見つけてください。
ラボたまでは、全国有数の酒処である埼玉県の日本酒文化を盛り上げるために、酒づくり体験などの活動を行っています。
- 2023/04/05新規作成