会社員として働きながら、
宮代町を盛り上げるために活動する「ミスターY」とは?


プロフィール
横川 剛士(よこかわ たかし)さん
行田市出身。実家は足袋の裁断くずを集めるリサイクル業を行っていたが、横川さんが幼少の頃、冠婚葬祭事業を始める。横川さんは大学卒業後、都内の大手電機メーカーに就職し、現在は勤続29年目。その後、結婚・子供の誕生をきっかけにマイホームを検討していた頃、宮代町の環境を気に入って、2004年に移住。その後、子供のボーイスカウト入隊をきっかけに、地域との交流が増え、イベント企画等を行うようになる。その後、コロナ禍で活動が自粛になってしまったが、運動不足解消のために始めた「ノルディックウォーキング」にハマる。その後、モルック普及活動を手伝い、自らワークショップを開催するなど、まちとの関わりが増えていく。現在は、会社員として働く傍ら、「ミスターY」という名前で、まちを楽しくするために活動中。社会実験として宮代町内の公園活用チームに参加し、企画立案なども行っている。


INDEX
まちを豊かにする方法は、お金や市政だけではない

豊かな自然と魅力的な建物に惹かれ、宮代町へ移住
- ー宮代町に移住したきっかけはなんですか?
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結婚して子供が生まれたので、マイホーム購入を考えたことがきっかけですね。私の実家の行田市と、妻の実家の羽生市の間で探していて、初めはアクセスの良さから越谷市などを見ていましたが、なかなか自分達の求める環境が見つかりませんでした。そんな時、宮代町に行く機会があり、自然豊かで空が広いところに魅力を感じました。また、宮代町は『笠原小学校』や『進修館』など、特徴的な建物があります。実は、建築家を目指していたこともあるぐらい建物や美術が好きで、そういったところにも惹かれました。
仕事は在宅勤務や出張もありますが、基本的には都内まで通っているので、通勤は大変です。でも、宮代町はどの年代の人も住みやすく、暮らし続けることができるまちだと思います。
子供達のボーイスカウト入隊をきっかけに、夫婦でまちに関わり始める
- ーまちづくりに関わるきっかけはあったのですか?
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子供達がボーイスカウトに入ったことをきっかけに、年代を越えた友人が出来たり、地域との繋がりが生まれたりしました。7~8年経って、子供達は卒業しましたが、私自身は、イベントや活動を通じて、地域と関わり続けたいと思い、2021年まで隊長として活動を続けました。そして、自分から楽しんで遊んでいるうちに、どんどん仲間が増えていき、活動の幅が広がっていきました。
そんな中、妻が杉戸町で始まった『わたしたちの月3万円ビジネス』の1期生として活動を始めたことで、周辺地域まで交流の輪が広がっていきました。妻は、子供達の個性を大切にしたいという思いから、敢えてテーマを決めず、1対1で自然な創作ができる工作教室を行っています。現在は、教育に対して同じ思いを持つ人たちと、公教育を変えるための活動も行っています。

モルックの普及協会などを通じて、まちの人が楽しめることを増やしていきたい
- ー現在の活動について教えてください。
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2022年の春に焚き火用の椅子を作るワークショップを、choinaca合同会社が運営する『ひとつ屋根の下』で開催しました。様々な活動をするうちに交流が増え、その年の夏からモルックの普及活動に参加しています。モルックとは、フィンランドのある地方に伝わる遊びを元に、1996年に考案されたもので、12本の木製ピンを倒す遊びです。あまりお金をかけずに、世代を問わず楽しめるところが魅力だと思っています。
今までに、東武動物公園駅前の無印良品のイベントで体験会を開催したり、モルックの木製ピンを作るワークショップを行ったりしました。まちの人達が楽しめることを増やしていくことで、まちが少しずつ豊かになり、関わる人達が幸せを感じる機会を増やしたいと思って活動をしています。
しごと創造ファクトリー ひとつ屋根の下(外部サイトへのリンク)

宮代町で遊ぶうちに、「仲間」も「好き」も増えた

人口は少なくても「面白い人」が多いまち
- ー宮代町の良いところはどんなところですか?
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私のような会社員や行政の人も、ボランティア活動として、まちの活動に進んで参加している人が多いです。しかも、これは最近になって始まったことではなく、昔からまち全体に協力的な雰囲気があるのが良いところだと思います。町民も積極的にまちのイベントに参加してくれますし、まちが主催のイベントもたくさんあります。行政が何か新しい取組みをするときは、町民の意見を取り入れて、一緒に創り上げるというのが基本になっています。
また、宮代町は国道がないので、チェーン店よりも個人商店が多く、のどかな雰囲気があります。昔ながらの趣のあるお店から、新しいおしゃれなお店まで多種多様なところが良いと思います。
宮代町は3万人と小さな町なので、友達は誰かの友達みたいな感じですね。人口が少ない割には、面白い人が多いので「面白い人率」の統計が出せたら、きっと1番だと思います(笑)
宮代町はもったいないことが多い?
- ー逆にもっと良くなるところはありますか?
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他のまちから見ると、宮代町は「もったいない!」と思われる部分が多いようです。確かに、ブランディングは苦手なところはあるかもしれないです。人が優しいのは良いことですが、なんでも安売りしてしまうのは良くないですね。国道がない分、狭い道路が多いなど、生活面での不便さも少々あります。
私のように移住してきた人達は、宮代町の良さを感じていますが、元々住んでいる人達は、良さに気づいていない人が多くてもったいないです。『進修館』などの建物の珍しさも、町民には当たり前になっているので、改めて宮代町の良さを知ってもらえる機会が増えるといいですね。私自身、宮代町が好きなので、良さを広めていきたいけど、教えたくない気持ちもあります。(独占欲でしょうか?)…でも、やっぱり良いまちなので、どんどん自慢して行きたいです(笑)

自分が楽しいと思うことが、まちの課題解決に繋がるなら、これからも遊び続けたい
- ー今後、取り組みたいことはありますか?
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自宅の前に公園があるのですが、遊具などがない公園で、まちから活用方法を考えてほしいと依頼され、「オリジナルパークづくり」という、ワーキンググループのリーダーになりました。参加メンバーは建築家や大学教授など様々です。今後はイベントを行ったり、東屋を作ったりして、みんなが使いやすい公園にしたいと思っています。
平日は会社に行って、土日も活動していると、休みがなくて大変じゃないかと言われますが、私にとっては「遊び」であって、楽しいからやっています。でも、そこから地域課題解決に繋がったり、仲間が増えたりしているので、これからも人生を楽しみながら、まちに少しでも貢献出来たらいいなと思っています。

ミスターYさんおすすめ『道案内カフェnoumachi』でのアフタートーク
~横川さんの次なる挑戦~
- ー宮代町には、どうして変わった形の建物が多いんですか?
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それは、宮代町の初代町長『斎藤 甲馬』さんがユニークな方で、『世界のどこにもないまちを創る』という思いで先進的なまちづくりを推進したことにあります。私の次なる目標は、まちの歴史や斎藤甲馬さんの思い・生い立ちに触れながら、宮代町の良さを伝えていくことです。そのために、歴史を短い映像にして、意見交換できる場所を作れたらいいなと思っています。『道案内カフェnoumachi』を運営している『アンカルク(株)』の社員、伊藤 はるかさんも定住促進WEBサイト『みやしろで暮らそっ』で、宮代町の魅力を発信する歴史探検マンガを描いているんです。同じような志しを持った仲間がたくさんいるので、宮代町はもっと楽しくなっていくと思いますよ!乞うご期待!
みやしろで暮らそっ(外部サイトへのリンク)

宮代町の横川さんおすすめカフェ
『道案内カフェnoumachi』
カフェの2階は『アンカルク(株)』というデザイン会社で、そのデザイナーさん達がカフェ運営をしており、シェアキッチンやイベントも開催しています。
【店舗情報】埼玉県南埼玉郡宮代町中央2丁目2-30(東武動物公園駅から徒歩4分)
定休日:木・日曜日 営業時間:11:00~17:00(営業時間は変更されることもありますので、HPをご確認ください)
編集後記
取材当日は、横川さんに東武動物公園駅から1時間ほど「宮代町ツアー」をしていただきました!駅前の通りには、公共空間を活用した住民が集えるバースペースがあったり、住民が誰でも参加できるイベントが毎週のように開催されていたりして、まち全体が活気に溢れていると感じました。また、高い建物が少ない分、空がとても近い感じがしました。普段、生活していると空を見上げる時間は少ないですが、宮代町では自然と空が目に入り、自然を感じることができました!今度はモルックにも挑戦してみたいと思います。
宮代町ってどんなところ?
【場所】埼玉県南東部(人口:約3.4万人)
【アクセス】東武伊勢崎線・日光線「東武動物公園駅」が最寄り駅で、「北千住駅」まで約40分。
【観光スポット】「東武動物公園」は老若男女に人気のテーマパークですが、その他にも、農をテーマにしたコミュニティ施設「新しい村」、無印良品の目の前に広がる芝生は「みんなの広場」として様々なイベントが開催されるなど、魅力的で新しい観光スポットがあります!

執筆者プロフィール
(株)地域デザインラボさいたま 八木奈央
2017年 埼玉りそな銀行小川支店入行。個人渉外として資産運用、信託商品の提案・販売を行う。まちを回る中で、田舎の人の温かさや面白さがある半面、人口減少などの社会課題も深刻化していること知る。その後、地域課題解決事業を行う「地域デザインラボさいたま(愛称:ラボたま)」が設立されることを知り、同社のビジネスコンテストに応募。「住みたい田舎から、住める憧れの田舎へ」をコンセプトに空き家流通促進事業について提案し、コンテストに合格。現在はラボたまに出向中。まちやコミュニティを知ることが移住促進・空き家課題解決に繋がると考え、様々な「まちびと」の活動を発信している。
詳しくは→「埼玉まちびと 四角いマガジン」(Instagramへのリンク)
- 2023/09/07新規作成


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