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オリジナルのワイン堆肥が育てる「大地のいちご」環境にも配慮した循環型サステナブル農業とは~ただかね農園(秩父市)の取り組み

環境にも配慮した循環型サステナブル農業とは~ただかね農園(秩父市)の取り組み 環境にも配慮した循環型サステナブル農業とは~ただかね農園(秩父市)の取り組み

甘ずっぱくて香りがよく、真っ赤で見た目もかわいい「いちご」はフルーツ界の人気者。埼玉県内には、いちご狩りができる観光農園が100軒ほどあります。旬の時期を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

埼玉県は新品種の開発に力を入れており、県オリジナルいちご品種はコンテストで最高金賞受賞の実績も!「日本一おいしい」とお墨付きのいちごは、どのように栽培されているのでしょうか。今回、秩父市のいちご農園「ただかね農園」を訪ねて、おいしいいちごが生まれる秘密を伺ってきました。

「日本一おいしい」とお墨付きのいちごは、どのように栽培されているのでしょうか。

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新品種「かおりん」「あまりん」誕生のいきさつ

埼玉県内のいちご栽培は昭和20年代後半から始まりました。まずは「埼玉のいちご」の歴史を振り返ってみましょう。

県内のいちご農家支援のために開発・育成

埼玉県のいちご栽培は昭和28年から始まり、昭和30年代後半は栽培面積が全国1位になったこともあります。県内では現在、いちご狩りや直売などが盛んに行われています。

県は、いちご農家支援のためにオリジナル品種を開発。平成28年、県農業技術研究センターで「かおりん」「あまりん」が誕生しました。名付け親は、秩父出身の落語家・林家たい平師匠です。

「かおりん」は糖度・酸度共に高く、濃厚な味わい。「あまりん」は糖度が高く、酸度が控え目です。令和5年2月に実施された「第1回全国いちご選手権」(一般社団法人日本野菜ソムリエ協会主催)では、「あまりん」(生産者:春日部市「ヒロファーム」)が最高金賞を受賞。「あまりん」は銀賞・銅賞も受賞、「かおりん」も入賞を果たしました。そのおいしさはお墨付きです!
※出荷農家/団体で評価されるため、「あまりん」「かおりん」で複数の賞を受賞しております。

「かおりん」「あまりん」はどこでつくられているの?

「かおりん」「あまりん」は埼玉県オリジナルブランド育成の観点から、県外や家庭菜園での栽培は不可となっています。「かおりん」は秩父市、吉見町、熊谷市、久喜市など、「あまりん」は本庄市、深谷市、秩父市、吉見町などでつくられており、作付面積は徐々に広がっています。

「かおりん」「あまりん」を栽培している、秩父市「ただかね農園」を訪ねました

秩父の山々を背に広がるのどかな田園風景の中に、いちご農園「ただかね農園」があります。先にご紹介した「第1回全国いちご選手権」で、「ただかね農園」さんの「あまりん」は銅賞を受賞、「かおりん」も入賞しています。おいしいいちごはどのようにして生まれるのか……その秘密をじっくりお聞きしました!

「かおりん」「あまりん」を栽培している、秩父市「ただかね農園」

秩父はいちご栽培に適した気候風土に恵まれた場所

お話を伺ったのは、「ただかね農園」代表の髙野宏昭さん。家族を含めて従業員は16名、作付面積65アールのいちご農園を長年経営しています。

「いちご栽培に寒さは大切な条件です。気温が低くなるといちごは身を守るために糖度が上がり、甘さがぐんと増します。ここは秩父山系からの冷たい空気とおいしい水に恵まれ、さらに冬も日照時間が長く、栽培に最適な条件が揃っているんですよ」と髙野さん。これらの好条件を活かして、1月から6月までいちごを収穫しているそうです。

「鉄道も国道も通っていない山奥ですが(笑)、山奥ならではの気候風土をいちご栽培に活用しています」と髙野さん。秩父駅から車で約30分という立地ですが、山に囲まれた場所だからこそのメリットがあるようです。

秩父はいちご栽培に適した気候風土に恵まれた場所

循環型のサステナブル農業!地元で入手できるぶどうの搾りかすなどで堆肥づくり

「ただかね農園」のいちごづくりには、さまざまなこだわりがあります。いちごは通常、開花から45日前後で食べられますが、ビニールハウスの中を夜は低温、昼は高温とし、手間暇かけた栽培方法で、50日以上かけて収穫。その分収穫量は減りますが、こうすることでいちごの甘味がぐんと増すそうです。

また、収穫期間中は化学農薬を使わず、天敵や物理的な殺虫方法で虫害を防いでいます。残留が心配な土壌消毒にも農薬は不使用。また、化学肥料も極力使わないなど、環境に配慮した減農薬・減化学肥料を実践。埼玉県から「特別栽培いちご」や「S-GAP」の認定を受けています。

そして一番のこだわりが、「大地で育てるいちご」であること。近年、立ったままいちご狩りができる「高設栽培」や、液体肥料と培養土を使って育てる「養液栽培」が増えつつあります。これらの栽培方法にもメリットはありますが、髙野さんはあくまでも露地栽培にこだわっているそうです。

「露地栽培の肝は土づくり。当園では、近所の兎田ワイナリーさんから、ポリフェノールや天然の糖分がたっぷり含まれたぶどうの搾りかすを入手して堆肥づくりに活用しています。土着菌が活性化して、土壌がふかふかになるんですよ」。髙野さんはこの堆肥を「ワイン堆肥」と名付けました。

さらに、秩父市内のキノコ生産者からは有機肥料入りの「廃菌床」。農家からは、土壌改良や実の引き締めに有効で病気にも強く育てられる「もみ殻」や、堆肥内の水分保持に役立つ「キャベツの外葉」を入手して堆肥づくりに活かしています。これらはいずれも廃棄予定だったものばかり。農園内で出た葉や枝、いちご狩りのお客さまが食べた後に残ったヘタ、園内で飼っているヤギやウサギの糞なども混ぜて、じっくりと堆肥を育てます。

「堆肥づくりは、菌をいかに活性化させるかが鍵なんです。県産の切り干し芋やカボスを混ぜることも試みたのですが、うまくいかず……。試行錯誤の末に今の方法を確立しました」。髙野さんは、オリジナルのワイン堆肥から生まれたいちごを「大地のいちご」と命名しています。

ワイン堆肥で育ったいちごはワイナリーにフルーツワインの原料として提供したり、堆肥の原料を提供してくれた農家に熟成した堆肥を無償提供したりするなど、地域ぐるみの循環型サステナブル農業を実現。これらの取り組みが評価され、「ただかね農園」は「令和4年度埼玉農業大賞 農業ベンチャー部門」で大賞を受賞しました。

「循環型の農業は、労力のかかる古いやり方だと思われることも多いんです。今になって、サステナブルやSDGsといった新しい響きの名前で呼ばれるようになり、再び日が差し込んできたような感じですね」。

平成26年の記録的大雪では施設の大半が全壊するという危機も乗り越えて、古くて新しい農業のあり方を見据える髙野さん。「大地で育ついちごは実が締まって、甘いだけでなくうま味も増します。お客さまが、甘味が濃くて練乳をかけなくてもおいしい!と感動してくださるのが喜びですね。なぜこんなに甘いいちごになるのか、つくるプロセスにも興味を持っていただけたら嬉しいです」と語ります。

農園でいちご狩りを楽しむ!

「ただかね農園」では、「かおり野」や「スターナイト」等の6品種(40分食べ比べ)のいちご狩りができ、「あまりん」「かおりん」は直売でその確かな味を堪能することができます。例年、1月~6月頃がシーズンですが、その年の気候によって左右されますので事前に確認の上お出かけください。

椅子に座って食べられる無料休憩所があり、車椅子でもいちご狩りが楽しめるなどバリアフリーな施設も好評です。農園のマスコットであるウサギやヤギとのふれあいもできます。

農園でいちご狩りを楽しむ!

「ただかね農園」のサイトはこちら(ただかね農園ホームページのリンク)

まとめ

髙野さんは取材時にいちごのことを「この子たち」と呼んでいました。わが子に接するように、手間暇かけて、愛情たっぷりに育てられたいちご。おいしさの秘密はそこにもあるのだろうと感じました。

さて、県内には「あまりん」「かおりん」をはじめ、さまざまないちごが楽しめる農園が数多くあります。「ただかね農園」がある秩父下吉田地域は、いちごのほかにもぶどうやブルーベリーなどが栽培されており、「フルーツ街道」と呼ばれています。季節ごとのフルーツ狩りが楽しめるエリアです。

「ただかね農園」にワインの搾りかすを提供している「兎田ワイナリー」も、すぐ近くにあります。「兎田ワイナリー」では秩父産ぶどうをメインに国産100%の日本ワインを製造。ワイン工場とぶどう畑の見学、直売所での試飲がすべて無料で楽しめます。直売所併設のレストランでは、秩父産の食材をふんだんに使用したメニューをいただけます。

兎田ワイナリー

「兎田ワイナリー」のサイトはこちら(秩⽗ファーマーズファクトリーホームページのリンク)

秩父にはいちご園やぶどう園などたくさんの観光農園があります。観光農園や体験施設で旬の味を味わったり、農業体験を楽しんだりしてみませんか?

  • 2023/08/10新規作成
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