

INDEX
- 江戸の景観を受け継ぐ川越蔵造りの歴史とは
- 迫力の箱棟や鬼瓦が魅力!川越蔵造りの特徴
- 川越のシンボル「時の鐘」は必見!蔵造りの町並みと見どころを紹介
- 川越蔵造り近くの菓子屋横丁で食べ歩き
- 川越蔵造り散策におすすめの乗り物
- まとめ

監修者プロフィール
株式会社地域デザインラボさいたま
江戸の景観を受け継ぐ川越蔵造りの歴史とは
川越市を流れる新河岸川は、隅田川に合流し東京湾に注いでいます。江戸時代には、新河岸川を使って米や野菜などを江戸へ運ぶ舟運が盛んで、たくさんの商人が江戸との商いをしていました。
川越に蔵造りの町並みができたきっかけは、明治26年の大火災だといわれています。火事によってたくさんの商家が失われましたが、伝統的な工法で建てられていた蔵造りは焼け残りました。蔵造りは類焼を防ぐことができる耐火建築であり、江戸の町家形式として発達した建物です。
当時、すでに東京ではレンガ造りや石積みの現代建築が耐火建築として主流になっていましたが、川越商人たちは火災からの復興に際し、火事を防げる建物として伝統的な蔵造りを選択しました。
東京では、関東大震災や戦災によって姿を消した伝統的な蔵造りの町並みが、ここ川越には残っており、江戸の景観を受け継ぐ重要な歴史的遺産として人々を魅了しています。
迫力の箱棟や鬼瓦が魅力!川越蔵造りの特徴
蔵というと、主に家財や商品を貯蔵する目的で作られる建物をイメージするのではないでしょうか。川越の蔵造りの大きな特徴は、貯蔵する場所としてだけではなく、店舗としての役割も持っている点です。通りに面した店舗も含めて蔵造りにすることで、独特の町並みが形成されました。他にも、建物としての魅力が随所にあります。
迫力ある箱棟
川越蔵造りの町並みを眺めるときは、まず、屋根を見上げてみてください。重厚感のある瓦屋根の一番上には、箱棟がかなりの幅で立ち上がっているのが見えます。
箱棟には、屋根を最上部で支える棟木の保護としての役割がありますが、川越の蔵造りの箱棟は、本来の機能のほか、箱棟そのものの装飾性が高くなっているのが特徴です。何段にも重ね合わさり壁のようになっている様子は何とも言えない迫力があります。
大きな鬼瓦

箱棟の両側に配置された鬼瓦には、大きな箱棟に負けないような工夫が施されています。大きな箱棟とのバランスを取るためには、鬼瓦も大きくする必要があります。しかし、大きすぎると重量がかかるため、鬼瓦と箱棟の接合部分に木と漆喰などで作られたカゲ盛を配し、重量がかからない構造で鬼瓦を大きく見せる工夫をしています。
鬼瓦が発達した奈良時代には表情の激しい鬼面が主流でしたが、江戸時代以降は家紋や防火のためのまじないの要素も取り入れられるようになりました。水という文字を入れた鬼瓦、おめでたい意味がこめられた福槌などさまざまな意匠の鬼瓦があるので、違いを見つけてみてはいかがですか。
重厚な観音開扉

蔵造りの町並みを眺めたとき、ひときわ目を引くのは重厚な観音開扉です。蔵造りの壁には、窓の部分のほとんどが観音開扉になっています。
扉本体と建物側の枠は階段状に細工が施され、職人の技が見て取れます。この細工により、閉じたときの密閉性が確保されるのです。
川越のシンボル「時の鐘」は必見!蔵造りの町並みと見どころを紹介
ここからは、川越蔵造りの町並みについて、見どころをピックアップして紹介します。
川越蔵造りの町並みについて
江戸の面影を色濃く残す町並みは、「小江戸」とも呼ばれ、観光スポットとしても注目されています。
蔵造りの町並みは、「川越一番街」に広がっています。道の両脇にズラッと並ぶ蔵造りの商店群には、今も商いをするお店が多数あります。建物を眺めながら、はたまた買い物や食べ歩きを楽しみながら、レトロな風情を感じられます。
また、この地域は、埼玉県で唯一、国の「重要伝統的建築物群保存地区」に選定され、2007年には「美しい日本の歴史的風土100選」にも選ばれました。訪れたら、ぜひ見ておきたいスポットも満載です。
蔵造りや外観が有名な見どころをピックアップ
ここでは、蔵造りを含め、外観が魅力的な建物、資料館など川越の見どころの一部をご紹介します。
時の鐘

3層構造の塔で高さ約16メートルあります。川越蔵造りの町並みのシンボルとなっており、川越市指定文化財です。約400年前に建てられましたが、川越の大火で焼失し、現在の鐘楼は大火の翌年に再建されたものです。1日に4回、鐘の音を聞くことができます。
大沢家住宅

寛政4年に麻や木綿の織物を扱っていた商人が建てたといわれています。川越の大火の際も焼け残り、川越の商人たちが蔵造りの建物を建てるきっかけにもなった建物です。築200年といわれる大沢家住宅は、時の鐘近くにあり、国の重要文化財に指定されています。
川越まつり会館

何台もの大きな山車が出て、毎年盛り上がる「川越まつり」は、江戸の様式や風流を伝える祭礼として約370年の伝統を誇ります。その川越まつりをいつでも体感できるのがこの施設です。菓子屋横丁近くにあるので、駄菓子屋巡りの際に立ち寄ってみてはいかがですか。本物の山車が展示されているほか、実際の祭りの映像を大型スクリーンで見られます。
川越市蔵造り資料館
川越の大火の後、煙草卸商を営んでいた小山文造(屋号「万文」)が建てたといわれる建物です。川越市指定文化財。現在は、川越の蔵造り家屋の意匠や構造、敷地内の様子を見ることができる資料館となっていますが、耐震化工事のため現在は休館中です。
りそな コエドテラス(埼玉りそな銀行 旧川越支店)

蔵造りの町並みが続くなか、ネオルネッサンス様式が取り入れられた白レンガの西洋建築がひときわ目を引きます。1996年に、国の登録有形文化財として埼玉県で第1号登録となりました。埼玉りそな銀行支店としての営業は終了しましたが、「りそな コエドテラス」として生まれ変わり、引き続き川越、埼玉の産業創出やブランド発信、暮らしを豊かにする拠点として歩んでいきます。地域の企業等と連携し、新たな産業の創出や起業家の育成に向けたインキュベーションスペースやチャレンジショップを設置するとともに、地域の食材を扱うカフェやレストラン等を通じて川越、埼玉のブランドを発信します。
川越蔵造り近くの菓子屋横丁で食べ歩き

川越蔵造りエリアの魅力は、歴史的建造物だけではありません。昔懐かしい駄菓子を売っている菓子屋横丁や、SNS映えするスイーツのお店などもあるので、のんびり散策しながら食べ歩きの楽しさも味わえます。
レトロな風情の菓子屋横丁
蔵造りの建物が並ぶメイン通りから、一歩路地に入ったエリアには「菓子屋横丁」が広がっています。石畳の道のあちこちに、手作り飴や駄菓子、麩菓子、カルメ焼きなど昔懐かしいお店や、おまんじゅう、手焼きおせんべいのお店など20数店舗が並び、何を食べようか迷ってしまうほど。ゆっくり歩きながら、気になるお店をのぞいたり、思い出の駄菓子を食べたり、わくわくする時間が過ごせます。
特産品「さつまいも」のスイーツが人気
川越でさつまいもが栽培されるようになったのは、江戸時代だといわれています。当時は甘いものが少なく、「川越いも」と呼ばれたこの地域のさつまいもは新河岸川を使って、舟で江戸へもたくさん運ばれ人気になりました。
蔵造りの町並みエリアでは、この特産品のさつまいもを使ったさまざまなスイーツにお目にかかれます。
例えば、メイン通りの一番街にはおいもの形をしたシュークリームやいもようかん、おいものおまんじゅう、時の鐘近くの通りには大学いものお店やさつまいもをスライスして揚げたおさつチップ、菓子屋横丁にはいもけんぴや、いもドーナツなどがあります。バラエティ豊かなさつまいもスイーツのなかから、お気に入りを見つけてみてください。
着物で食べ歩きを楽しみSNSにアップする人も
最近は着物や浴衣を着て観光地を巡る方々も増えています。蔵造りの町並み周辺には着物レンタルのお店もあります。江戸の風情が残る町並みには、着物姿もより一層映えそうですね。いつもと違った雰囲気で観光を楽しみたい方は、着物姿での散策もおすすめです。
先ほど紹介したさつまいもスイーツのなかには、SNS映えするものもあるので、着物姿での食べ歩きをSNSにアップして思い出に残してもいいですね。
ランチやお土産店も充実
このエリアには、スイーツ店だけでなく、ランチのお店も充実しています。うなぎ店やさつまいもの懐石料理、中華料理、すし店といろいろなジャンルのお店がそろっているので好みのお店でゆったりランチをいかがですか。
1日楽しんだあとは、お土産選びを楽しみましょう。さつまいものスイーツをお土産にしてもいいですし、漬物やアクセサリー、雑貨、ワインやお酒のお店などお土産向きのお店も豊富にあります。
川越蔵造り散策におすすめの乗り物
川越蔵造りエリアは歩いても回れますが、観光スポットが点在しているため、乗り物を利用するのもおすすめです。いくつか移動手段を紹介するので、参考にしてください。
小江戸巡回バス

イーグルバスが運行する路線バスで、川越駅西口から発着しています。蔵造りの町並みエリアはもちろん、氷川神社や喜多院など周辺の観光名所をくまなく回れます。
1日フリー乗車券は500円で1日中バス乗り放題です。市街地の協賛店で割引サービスなども受けられる特典も付いています。
人力車

名所をコースで案内してくれる人力車の運行もあります。コースは、運営する人力車のお店によっていろいろあります。移動手段としてだけでなく、川越の歴史や魅力をガイドしてもらえる点もいいですね。
自転車シェアリング
市の中心市街地に、自転車の貸し出しや返却を行う駐輪場(ステーション)が複数設置されています。どの駐輪場(ステーション)でも自転車の貸し出しや返却が可能なので、自分のペースであちこち散策したい方は、利用してみてはいかがですか。
まとめ
川越蔵造りの町並みは、今なお江戸の風情を残す歴史的にも貴重な地区です。川越の蔵造りの大きな特徴は、商品の倉庫としてだけでなく店舗の役割も持っていることです。メイン通りの一番街には、江戸の面影を残した蔵造りのお店が多数並んでいます。少し路地に入れば、レトロな風情の駄菓子屋さんが並んでいます。川越の歴史や蔵造りの特徴を学びながら、川越のグルメや観光を楽しんでみませんか。
- 2024/04/22更新


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