「川の国埼玉」の挑戦
~SAITAMAリバーサポーターズプロジェクト~
埼玉県が日本でも有数な「川の国」であることはご存じでしょうか。皆さんの周りでも、気づけば多くの川を目にすると思います。埼玉県は、そんな豊かな水辺空間の活性化を目指して様々な取組みを実施しています。
ここでは、埼玉県が取り組んでいる「SAITAMAリバーサポーターズプロジェクト」について、立ち上げの経緯から、今後の取組みなどをご紹介します。興味を持っていただけましたら、ぜひサポーターとなって「川の国埼玉」を盛り上げていきましょう!
INDEX
監修者プロフィール
株式会社地域デザインラボさいたま
知られざる!?埼玉は日本有数の「川の国」
「川の国埼玉」の日本1位と日本2位
埼玉県の鴻巣市と吉見町の間を流れる荒川の川幅は2,537メートルあり、日本一です。この長さは、スカイツリー4つ分に相当します。また、埼玉県は県土に占める河川の面積割合が3.9%であり、全国2位です。土地利用形態別の面積割合のうち、「河川・水面等」は約5%を占め、埼玉県内にはそれだけ多くの水辺空間があることが分かります。
「川の国埼玉」の川の再生への取組
出典:SAITAMAリバーサポーターズ公式ホームページ(外部サイトへのリンク)より
かつては、流域の都市化が急速に進むなかで、社会資本を守り、県民生活の安定を図るための「治水」の観点からの川の整備が重視されていました。自然環境や景観が社会資本であり地域の財産であるという考え方は希薄でした。その後、環境保全やゆとりを求める県民からのニーズが高まり、川が人々のゆとりある生活の舞台となるよう、平成20年に川の再生プロジェクトが始まりました。
埼玉県水環境課では「川の国応援団」制度を立ち上げ、川の清掃や環境学習などを行う地域の団体に対して活動に必要な資材を提供したり、「川の再生交流会」を開催するなど積極的な活動支援を行ってきました。これまで、数多くのボランティア団体が川の清掃活動や水質調査などを通じて豊かな水辺環境を守ってきました。
SAITAMAリバーサポーターズプロジェクト始動!!
キーワードは、サスティナブルな仕組みづくり
出典:埼玉県公式ホームページ(外部サイトへのリンク)より
そうした中、「川の国応援団」など川の再生を担っていただいていた方々の高齢化が進み、活動団体の減少や固定化といった課題が出てきました。こうした課題を解決し、県民による自発的な川の再生の取組みが持続していくよう、参加する人々の輪が広がるようなサスティナブルな仕組みが必要でした。
暮らしも、ビジネスも、遊びも
(画像提供:埼玉県)
これまでの「川の国応援団」への活動支援はそのままに、川を舞台とした企業の経済活動の活性化支援、SNS等を通じた個人の方向けの水辺イベントに関する情報発信など、団体、企業、個人の3者を支援するSAITAMA リバーサポーターズプロジェクト(以下、リバサポ)が令和3年度にスタートしました。企業が「ビジネス」として川で魅力的な活動を行えば、多くの方が川に訪れ「遊び」を楽しみ、みんなが川を大事したいと思ってくれれば「暮らし」も豊かになる、リバサポは、そうしたサスティナブルな循環を目指す取組みです。
多くの人に「川好き」になってもらうために
埼玉県民の心の中には「川」というキーワードが眠っている
(画像提供:埼玉県)
「リバサポ」を担当している埼玉県水環境課の中前さんは、リバサポを広める地道な宣伝活動の中で、埼玉県民の「川」に対する思いに触れることができたそうです。
「立ち上げ当初は、聞き馴染みのない『リバサポ』の取組みをご理解いただくことに苦労しました。これまで皆さんの善意、ボランティアで支えられていた川の再生の取組みでしたので、ビジネスと結びつく新しい取組みであることを丁寧にご説明する必要がありました。しかし、水環境課は企業と接点がほとんどない部署でしたので、職員が飛び込みで企業に訪問したりしました。熱意を持ってお話する中で、ご理解をいただき、意気投合したりと、少しずつ輪の広がりを感じています。」
(画像提供:埼玉県)
「企業訪問のほか、地域のお祭りなどにもリバサポのブースを積極的に出展し、地域の方々とも直接お話をしました。お話する中で『言われてみれば、川って近くにありますよね』『そういえば昔、よく川で遊んでいました』『子ども連れて、よく川に遊びに行きます』など、川に対してポジティブな言葉をたくさん聞くことができました。埼玉県民の心の中には「川」というキーワードが眠っているんだなと感じた瞬間でした。地道に『リバサポ』という言葉を発信し続けることが大事なのかなと感じています。」と中前さん。
試行錯誤しながらアイデアを実践
(画像提供:埼玉県)
リバサポでは、より多くの人たちに川を好きになってもらおうと次々と新規プロジェクトを企画しています。令和4年度には新しく「リバチャリ」「リバ犬」というプロジェクトが始まりました。「リバチャリ」とは、自転車で川沿いの道を走る人たちに、もっと「川好き」になってもらおうとする取組みです。川と自転車に関する様々な取組みを通じて、サイクリング中に何気なく見ている川を好きになってもらい、少しずつ川に愛着を持ち、川に優しい行動につなげてもらうことを目指しています。
(画像提供:埼玉県)
「リバ犬」とは、犬好きの方に川を楽しんでいただきながら、一緒に川を守ることにも参加していただく活動です。埼玉県には川沿いに緑道や公園、ドッグランなどが多くあります。川沿いの散歩は安全に楽しめるだけでなく、愛犬と遊ぶ際にも最適で、愛犬と気持ちよく過ごせる川のために川を守る活動にも意識を向けてもらうことを目指しています。
これらは自転車好き、犬好きの職員たちのアイデアが採用された企画です。どうすれば「川好き」になってもらえるか、試行錯誤しながら企業の方々を巻き込みながらチャレンジしています。
みんなが川を思う「川の国埼玉」へ
(画像提供:埼玉県)
リバサポの個人サポーターは1万5,000人を超えました。企業サポーターの方が知り合いの企業にリバサポを紹介したり、企業サポーターの従業員の方が川での活動を機に個人サポーターとなったり、個人サポーターの方がお友達を連れて参加したりと、サポーターのつながりによって広がりをみせています。企業・個人サポーターの広がりの中で、「川の国応援団」の登録も増えています。埼玉県水環境課の中前さんは「将来は埼玉県の事業という枠を飛び越えて、この仕組みが自走化して、一人でも多くの人に『川好き』になってほしいと思います。みんながリバサポを知っていて、みんなが川を大事にしようと思っている『川の国』にしていきたいと思います。」とお話されました。
まとめ
埼玉県は「海ナシ県」と言われることがありますが、県内に多くある豊かで魅力的な川や水辺は、「治水」、「環境」、「産業」の観点からも埼玉県民の生活にはなくてはならないものです。SAITAMAリバーサポーターズプロジェクトはまだ始まったばかりです。個人サポーターは誰でもすぐになれます。LINE公式アカウントをお友達登録すれば、川遊び、環境学習などの川ガキ体験イベントや、季節の川のお出かけスポットなど、川を楽しむ情報、県内各地の川での清掃活動の情報などをいち早くキャッチできます。サポーターとなって一緒に「川の国埼玉」を盛り上げていきましょう!
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- 2024/01/05新規作成