

INDEX
様々な働き方から見えてきた「まちづくり」の面白さ

自身のキャリアに影響を与えたまちづくりとの出会い
―本庄市役所ではどのような仕事をされてきたのですか?
市役所に勤めて10年目になりますが、最初は秘書広報課に配属されて、まちのHPや広報紙の作成をしていました。研修に参加した際に、全国で活躍している広報担当者と出会い、もっと頑張りたいと思うようになりました。しかし、そのタイミングで異動になり、次は支所で福祉関係の仕事をしました。この部署は定時に上がれたので「THE公務員」のような働き方でした(笑)。逆に時間が出来たので、様々な研修に行ったり、先輩と自主研究グループ「HONMARU」の立ち上げを行ったりしました。その後、県主催の「NEXT商店街プロジェクト」の中の「本庄暮らし会議」というワークショップに参加したことがきっかけで、商工観光課を希望して異動しました。
―自分の希望通りに活動ができてきたんですね。
実はそうでもなかったんです。「NEXT商店街プロジェクト」が県から市の事業になるタイミングだったので、今までのいい流れをさらに加速させたいと思っていたのですが、コロナ禍になってしまい…給付金や補助金の対応などに追われて鬼のように忙しく、当初はやりたかったことができない状況でした。私生活では子供が生まれたのもあり、異動してすぐは色々と大変でしたね。
公共施設には新たな活用の可能性が眠っている
―現在はどのような取組みを行っているのですか?
NEXT商店街プロジェクトの中で、「本庄MEET&TALK」というタウンミーティングの主催や、本庄マルシェ実行委員会や商店街連合会などのまちで動いている人や団体の伴走支援を行っています。その中で、「本庄七夕まつり」を本庄マルシェ実行委員会と商店街連合会と一緒に、約30年振りに復活させることができました。あとは、公共空間の利活用の実証実験を行っています。令和4年の5月から月1回マーケットを市役所の広場や公園などで開催していて、商業者の支援とともに公共空間の新たな活用方法を模索しています。

「一般社団法人ochanoma」を設立
自分達で活用しやすい空き家を作っていく
―出牛さん個人で取り組んでいることはありますか?
今年3月に、同じ想いを持つ市役所の2人と自分で「一般社団法人ochanoma」を立ち上げました。行政として伴走するだけでなく、同じ目的を持った民間側のプレイヤー達と並走していきたいと思ったことがきっかけです。あとは、行政内で異動をしてもまちと関わり続けられる場所を作りたいと思っていました。他の地域で一般社団法人を設立していた自治体職員の方に色々と教えていただくことができ、登記自体はそこまで大変なこともなくすることができました。
―一般社団法人「ochanoma」ではどのような活動をしていますか?
ちょうど「ochanoma」を立ち上げたタイミングで、「三浦屋」という空き家を借りれることになったので、「ochanoma」でお借りして、今はそこの片づけを行っています。ここは自分たちで活用していくのではなく、この場所をオープンにして魅せていくことで、活用してくれる人に繋いでいきたいと思っています。あと、公務員には柔軟に発想する機会があまりないので(笑)片付けを通して色々と想像を膨らませていくきっかけにもなると思っています。もちろん、公務員以外の方にも参加してほしいです。

苦労が多い分、まちが変わっていく実感も大きい
―行政としてまちと関わる中で苦労したことはありますか?
「NEXT商店街プロジェクト」が始まってすぐの頃は、プロジェクト同士の情報共有があまりできていなかったため、情報整理に時間がかかりました。「知ってる」のと「知らない」のは大きな差になってしまって、知らなかったために物事がうまくいかないこともあると思うので、人と人との調整は丁寧に行うように心掛けています。また、イベントの際にまちの方から借りたものをすぐにお返しできず、怒られてしまったことがあります。改めて、基本的なことや信頼関係の大切さを再認識しました。
―まちづくりのやりがいはどんなところですか?
行政としてのやりがいは、自分も本庄市民なので、まちづくりが生活に直結することですね。
美味しい物が食べられるようになったり、新しい公園で子供と遊べるようになったり…支援している側でもあり、恩恵を受ける側でもあると思っています。マーケットなどを開催することで、まちの人が喜んでくれて、自分も楽しめて、まち全体が豊かになっていく実感があります。
…結局、自分が一番楽しんでいるかもしれません(笑)

本庄市で叶う「ちょうどいい暮らし」
県境だからこそ、様々な事業者さんとの交流がある
―本庄市のいいところはどんなところですか?
ここ数年で、どんどん暮らしが豊かになってきている実感があります。それは人が良かったり、活用できる場所があったりして、暮らしの中に楽しみが生まれているからだと思います。本当に「ちょうどいい暮らし」が出来ています。都内へのアクセスだけでなく、軽井沢や草津温泉のような観光地にも行きやすい場所です。本庄市内でも、様々な事業者さんがイベントを開催しているのでとても楽しいです。
まちとしての課題は「ブランディング」
―逆にもっと良くなると思うところはありますか?
いいコンテンツはたくさんありますが、点在していてまとまりがないのは悩みですね…合併をした関係でエリアが広いので、まとめるのが難しいということもあるかも知れません。ブランディングがあまりできていないのでもっとうまい見せ方が出来れば良いと思っています。
あと、まだまだ空き店舗が多いのですが、住んでいらっしゃったり、様々な事情があったり、貸して頂けないところも多いので、活用がどんどん進むといいなと思っています。

民間と行政を繋げる存在でありたい
―今後の目標について教えてください。
本庄駅北口を中心に行っている「NEXT商店街プロジェクト」の継続的な発展と、さらにエリアを広げて支援していきたいと思っています。
一般社団法人を立ち上げましたが、行政としてもまだまだやるべきことがあると思っています。
民間プレイヤーのことを理解しながら、行政として動いていかないとまちづくりはうまく進まないので、自分が間に立って繋げる役割を担っていきたいです。

執筆者プロフィール
(株)地域デザインラボさいたま 八木奈央
2017年埼玉りそな銀行小川支店入行。運用商品等の営業を経験した後、地域課題解決事業を行う「地域デザインラボさいたま(愛称:ラボたま)」に出向。現在は移住促進・空き家課題解決のため、様々な「まちびと」の活動を発信している。
詳しくは→「埼玉まちびと 四角いマガジン」
編集後記
出牛さんとは嵐山で参加した「嵐山MEET&TALK」で出会いました。行政で働きながら事業を立ち上げたと聞いて、独立を考えているのかと思いましたが「行政だとできないこともあるが、行政だからできるサポートもたくさんある。自分はプレイヤーではなく、プレイヤーを支える存在になりたい」と話されていました。現在片付け中の「三浦屋」は様々な人の協力で400㎏程のゴミをきれいにされたそうです!これから本庄にどんな素敵な場所が出来ていくのかとても楽しみです!

「三浦屋お掃除大作戦」を決行!多くの方々に協力いただきながら、地域の皆さんと活用方法を妄想しています。
本庄市ってどんなところ?
- 場所:埼玉県北西部(人口:約7万8千人)
- アクセス:JR高崎線・本庄駅からは都心だけでなく小田原・熱海方面にも行くことができます。
- 観光スポット:日常を楽しくしてくれるマーケットが各地で開催されていて家族で楽しめます。「花めぐり」と呼ばれる花の名所もたくさんあります。
本庄市内の出牛さんおすすめグルメ
- 中華料理屋「きんそば」
- コメント:地元に根付いた町中華で、素朴な「ラーメン」と昔ながらの黄色い「カレー」は何回でも食べたくなります。「チャーハン」もおすすめです。ふとした時に食べたくなる優しいソウルフードです!
- 店舗情報:埼玉県本庄市児玉町児玉 181(児玉駅から徒歩7分)Google MAP
- 定休日:月曜日 営業時間:11:00 ~ 14:00 17:00 ~ 19:30(木曜日はランチのみ)

- 2023/04/05新規作成


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