地域のカフェ等で、映画の自主上映会「パタパタシネマ!」を手掛ける


プロフィール
荒幡 幸恵(あらはた ゆきえ)さん
狭山市出身。大学では、マスコミュニケーションについて学ぶ。興味は広いが特にやりたいことが明確ではないなか、大学卒業後はコピーサービス・印刷・製本等を手掛ける外資系の会社に就職。その後、複数のコールセンターに勤務。地域活性への興味から、カフェやグルメ系のライターとして活動したことも。ほかに人の本来の美しさを引き出せる美容系の仕事にも携わるなど、様々な業種を経験。映画はもともと好きなカルチャーのひとつだったが、とあるドキュメンタリー映画が自身の行動を変えたことと、ミニシアターでの映画体験にワクワクしたことがきっかけとなり、自主上映活動『パタパタシネマ!』を2016年にスタートする。現在は、医療関係の仕事に就きながら、主に西埼玉(狭山市、所沢市、飯能市、川越市周辺)エリアでカフェやホールを中心にドキュメンタリーやフィクション映画の上映会を開催する。
自主上映とは:チーム・団体が企画主催者となって、上映会事務局からDVDもしくはブルーレイの版権をとり、映画の上映を行なうこと。行う際には、原権利者から非劇場上映権(市民ホールなど、常設の映画館以外の施設で上映を行う場合に必要となる権利)の許諾を受ける必要があります。


INDEX
多様な映画のストーリーから本来の自分を生きるきっかけを作りたい
様々な経験が今に繋がっている
- ー今までの職歴について教えてください。
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狭山市生まれです。就職後に都内にも住みましたが、現在は狭山市に戻りました。大学はマスコミュニケーションを学ぶ学部へ進学しました。もともと映画や音楽、本などのカルチャーへの興味が高く、映画や音楽に関わる授業があったことは良かったです。やりたいことが何なのかがわからず、就職もなかなか決まらず、模索しながら、ご縁があった会社を転々としていました。コピーや製本、DTPなどのサービスを提供する外資系企業に就職後、複数のコールセンターにも勤務しました。地域の魅力発信に興味を持ち、グルメやカフェ系雑誌のライターとして活動していた時期や、人の美しさを引き出せることに魅力を感じ、美容系のインストラクターの資格を取って活動したこともあります。現在はご縁があった医療関係の仕事に就いています。職歴は一貫性がない気もしますが、様々なことを経験することで、対人スキルや細かい部分は今に活きていることが多いかもしれません。仕事と並行して自主上映活動「パタパタシネマ!」の活動をしています。
本来の自分を生きるきっかけを映画で届けたい
- ー『パタパタシネマ!』を始めたきっかけはなんですか?
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今は無きミニシアター「アップリンク渋谷」にあった20席前後のシアターで、座椅子の席に座り、コーヒーを片手にくつろぎながら映画を観るという体験がものすごく楽しく、ワクワクしたこと、同映画館で観た『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッションの裏の真実~』というドキュメンタリー映画によって自分の行動や意識が変わるという経験をしたことがきっかけです。映画はさまざまな事実やストーリーを知るいいツールで、本来の自分が望む生き方を選択するきっかけを得られると感じました。良いドキュメンタリー作品などは、自身が住むエリアでは公開されない作品も多いです。身近な地域で映画を上映する機会をつくれば、関心のない方や都内まで出向けない方でも映画を観る機会が増え、本来の自分を生きるきっかけをつくれると思い、自身の住む狭山市やその周辺で上映会をしようと考えたのが始まりです。
上映会を通して、繋がりが増えていくと嬉しい
上映会ならではのアットホームな場を
- ー『パタパタシネマ!』や、映画に対する思いを教えてください。
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上映する作品は、基本的には自身が観て良かった作品がほとんどです。なかでも、ドキュメンタリー映画を上映することが多いのですが、ドキュメンタリーは、社会問題などのテーマを扱っているものが多く、観ていて難しいと感じるものもあります。「パタパタシネマ!」では鑑賞者の間口を広げたい思いがあるため、たとえ関心がない人でも、身近に感じるテーマやわかりやすく、楽しんで観られるような作品選びをしているつもりです。同じ理由で、ドキュメンタリー以外のフィクションの映画も混ぜて上映しています。また、通常の映画館での鑑賞と違い、カフェやホールでの手作りの上映会を開催しているので、映画館とは違った楽しみ方ができるような場づくりを心がけています。感想をシェアする時間を設ける、ご飯を食べたり、お茶をしながら観たり、本の交換会をするなど、映画+αがある上映会を考えて、実施しています。上映会だからこそ、集う人や場から生まれる空気、コミュニケーションを大事にしています。
人との繋がりを大切にしたい
- ー今の活動のやりがいはどんなところですか?
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来てくれた方が喜んでくださっている姿、アンケートや口頭でいただくコメントや感想は毎回励みになっています。単純にいいものをシェアするのが好きなのか、スクリーンに映画をかけ、みなさんと共有する場をつくるだけでも、自身の楽しみにはなっています。基本的にはひとりで活動しているのですが、上映会ごとに周りの方々に助けていただいています。集客しないといけないと考えて、気持ちが大変になってしまうこともありましたが、この活動をしていることでいいことも悪いことも経験できることが増えました。上映会を開催したことで、地域のお店やお客さまなどとのご縁が発展して、次の上映会開催に繋がっていくことがあるのも、うれしいことです。最近は、お声をかけていただくことがあり、お店や場を持つ方たちと共に開催できることが増えているのも、心強いです。
狭山市を映画をはじめとする文化を楽しめるまちに
- ー狭山市の良いところ、もっと良くなるところはありますか?
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個人的なことで言うと、名産の「狭山茶」は子供の頃から毎朝、飲んでいて、今でも狭山茶は煎茶、紅茶、ほうじ茶など何でも好きです。上映会でも今後、狭山茶を映画のお供のドリンクで提供したいという思いがあります。わたしはカフェ好きなので、狭山茶のカフェなどがあるとうれしいですね。狭山市にある西武文理大学が運営している『サヤマdeシネマ』という市民会館で催される上映イベントがあり、以前参加したことがあります。大ホールがお客さまでぎっしり埋まってました。狭山市民の方も文化的なことが好きなんだと感じました。市内にそういう場や機会がまだまだ少ないので、そういう機会が増えると生活の豊かさにも繋がる気がします。「パタパタシネマ!」も狭山市の文化振興にお役に立てるくらいになるとよいです。
カルチャーを提供できる誰もが安心して集える場所を

- ー今後の目標について教えてください。
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上映会では、もっと映画体験を深められるよう、参加者同士でシェアする時間や場をもう少し多く作れるようにできたらと思っています。また、今はいろいろな場で上映する移動上映会ですが、いつかシネマカフェのような場をオープンしたいと思っています。映画が定期的に上映され、映画の余韻も味わえるカフェも併設する。映画関連や本来の自分を生きるきっかけとなるような本や雑貨なども販売して、暮らしや人生に役立つワークショップやイベントを企画するなど、暮らしや人生を豊かにする「カルチャーを提供できる場所」が出来たら素敵だと思います。誰もが安心してくつろげる空間にするのが理想です。自然や森の近くのスペースで平屋や古民家のような古い建物を活かした建物だと、勝手な想像ですが最高です!
編集後記
私も、6月25日に吉川市の「NUSHISAの台所」で行われた荒幡さんの上映会に参加してきました!当日は、お子さんからご年配の方まで、多くの映画好きが集まっていました。茨城県から荒幡さんの上映会に参加して、自分でも上映会を行うために勉強しているという方もいて、映画の輪が広がっているのを感じました。普段の生活では気づかないことも、映画を見ることで自分の考えや、思いに気づくことがあると思います。様々なカルチャーに触れることで、自分のアンテナから様々な情報を受信し、本来の自分を生きることに繋がると思いました。
狭山市ってどんなところ?
【場所】埼玉県南東部(人口:約15万人)
【アクセス】西武新宿線 新狭山駅、狭山市駅、入曾駅の3駅利用可能。西武新宿駅まで約50分。
【知ってましたか?狭山市のあれこれ】
『狭山茶は、日本三大茶のひとつ!』
静岡茶、宇治茶と並び、日本三大茶に選ばれている狭山茶。茶産地としては冷涼で、冬の間に茶葉を休ませることで、コクが出るそうです。
『入間川の河川敷には公園付きのスタバがある!』
「スターバックスコーヒー狭山市入間川にこにこテラス店」は河川敷に立地する全国初の店舗です!ラボたまが、民間活力導入コンサルティングとして、携わった店舗でもあります。

執筆者プロフィール
八木 奈央
2017年 埼玉りそな銀行小川支店入行。個人渉外として資産運用、信託商品の提案・販売を行う。まちを回る中で、田舎の人の温かさや面白さがある半面、人口減少などの社会課題も深刻化していること知る。その後、地域課題解決事業を行う「地域デザインラボさいたま(愛称:ラボたま)」が設立されることを知り、同社のビジネスコンテストに応募。「住みたい田舎から、住める憧れの田舎へ」をコンセプトに空き家流通促進事業について提案し、コンテストに合格。現在はラボたまに出向中。まちやコミュニティを知ることが移住促進・空き家課題解決に繋がると考え、様々な「まちびと」の活動を発信している。
- 2023/12/15新規作成


埼玉のあれこれ



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